憲法26条の「義務教育は無償」の実現に大きな役割を果たしたのは、1961年３月からはじまる高知・長浜の教科書無償運動だった。この運動から50年を記念したパネル展が、１月11日からの10日間、高知市立長浜小学校でひらかれた。
　 憲法を学び、権利意識にめざめた被差別部落の母親たちは、教師をはじめ地域の民主団体や地域外の人びとにも働きかけ、「長浜地区小中学校教科書をタダにする会」を結成。１週間もたたずに長浜地区で1600人分の署名を集め、教科書の不買運動を展開した。新学期から約１か月間、教員もプリントをガリ版で刷って運動を支えた。
　 この運動は国民的な運動へと拡大した。国会でもとりあげられ、1963年12月に部落解放運動や教組の長い運動を基礎に、教科書の無償化が実現した。
　 このパネル展の開催に向け、長浜小学校では昨年末から資料を整理。展示されたのは当時の新聞や写真など100点におよんだ。企画を担当した弘瀬利英・教諭は「教科書無償運動のふるさと長浜を誇りに思ってほしい」と語った。また、吉岡潤・校長は、子どもたちに教科書を大事にしてほしいと熱く語った。
　 期間中、500人が来場し、「ぜひ、常設展示にしてほしい」などの声が寄せられた。