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部落問題資料室
NEWS & 主張
水平社宣言から「光」を加え
差別戒名墓石を追悼供養

「解放新聞」(2012.03.12-2560)

 【京都支局】「犬翁善畜女」「同畜」と刻まれた差別戒名墓石の改名法要が2月16日、真言宗智山派総本山の智積院で営まれた。同和問題に取り組む京都府宗教者連絡会議(京都同宗連)のとりくみで、加盟教団の代表ら23人が、府連からも西島藤彦・書記長ら3人が参列した。

戒名改め、卒塔婆に記し
  この差別戒名墓石は、1983年に京都市伏見区内で建設作業中に出土したもので、その後、空き地に放置した状態が続いていた。1990年に調査員が文字を読み取ったところ、差別戒名が刻まれていることが判明、翌年4月に公表となった。墓石は上部が欠損し宗派の特定はできなかったが、「元禄三年」と刻まれた1690年のもの。
  1992年、墓石は智積院境内に安置され、以後、毎年、京都同宗連による法要が、議長教団の作法でおこなわれてきたが、一昨年の総会で「差別戒名を放置して痛みを感じないのか」との提起を受け、特別委員会を設置して論議を積み重ね、「犬翁善畜女」から「顕応光善信女」に改名、新たな墓石はつくらず卒塔婆に記して供養をおこなうこととなった。
  差別戒名の文字数は、通常より1文字少ないため、水平社宣言の「人間に光あれ」から「光」を採り、加えた。経過説明文も、現在の案内パネルに追加設置した。また、これまでは差別戒名墓石の拓本で法要をおこなっていたが、「被差別物故者一切諸精霊」の軸を掲げておこなうこととなった。

差別を子孫まで残さない
  差別戒名墓石改名法要は、智積院境内の学侶精霊墓地でおこなわれ、読経、焼香の後、京都同宗連の蔦頭円城・議長(浄土真宗本願寺派)が「深い反省と自らの教えに立ち返り、これからの差別撤廃へとりくみの決意を新たにいたします」という表白をのべた。
  その後、智積院会館でおこなった被差別物故者一切諸精霊法要では、全国同宗連の小倉秀清・議長(真言宗豊山派)が「宗教者として差別を子孫まで残さないよう実践をおこなう」と決意をのべた。
  府連の西島書記長は「あの世の極楽を願い、身を削る思いで寺に浄財を納めながら犬畜生と刻まれた女性の思いに応え、現世で差別を乗り越えるとりくみを」と訴えた。最後に、「痛みを感じないのか」と問題提起した京都同宗連の岡崎真澄・前議長(真宗大谷派)が「300年経ち、人間として認められた。みなさんのおかげであり、感謝している」と謝辞をのべた。


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