脱原発社会に向けて、各地で共闘の取り組みをすすめよう
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東日本大震災による福島第1原発事故から1年が経過しようとしている。しかし、いまだに事故が収束したとはいえない状況だ。原子炉内で溶融した核燃料がどのような状態なのかも確認できていない。建屋の耐震補強も十分ではなく、余震による新たな事故も心配されている。
また現在、損壊した建屋の被覆が1号炉しかできておらず、放射性物質の放出は続いている。広大な土地や建物などが汚染され、「除染」もごく一部しかすすんでいない。除染といっても放射性物質が消失するわけではなく、移動させるだけなので、汚染された大量の土などをどこにもっていくのか、行き場がない。
原発周辺の広範囲の住民の生命と健康が脅かされ、生活が破壊され、農業や産業への影響も計り知れない。このような深刻な現状を直視し、原発事故を二度とくり返してはならない。
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事故の原因の究明は、民間、東電、国会、政府の4機関でおこなわれているという。政府の事故調査検証委員会の報告書では、原因を「津波による電源喪失」とし、「地震による被害は確認できない」としている。しかし、原子炉建屋内に入っての調査もできていないのに地震による被害はないといい切ることは疑問である。停止中の原発を再稼働させたいがための方便といわれても仕方がないだろう。3
現在、日本にある商業用原発は54基で、そのうち稼働している原発は東京電力柏崎刈羽6号機(新潟県)と北海道電力泊3号機の2基となり、点検中の原発の再稼働がなければ、4月末にはすべての原発が止まる。そして、関西電力の「大飯原発3・4号機」(福井県)の再稼働が焦点化してきた。関西電力は原発への依存率がもっとも高いといわれ、厳しい議論が予想される。
枝野幸男・経済産業相は1月27日の閣議後の記者会見で、今夏の電力需給について、定期検査入りした原発を再稼働せず、すべて停止した状態でも、昨年夏に東京、東北電力管内で実施した電気事業法にもとづく電力使用制限令を発動しない意向を表明した。政府は、節電の技術や対策の向上、太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーの活用促進、研究開発の推進など、対策を加速度的にすすめるべきである。
再稼働をめぐる議論は、これから正念場を迎える。原発推進派も全力で巻き返しをはかってくるだろう。今夏には国のエネルギー基本計画もまとめられる予定だ。
昨年9月の脱原発集会は、6万人をこえる人びとで東京・明治公園があふれた。しかし、現在とりくんでいる脱原発1000万人署名はまだ半数に達していない。まだとりくめていない支部などがあれば早急に署名活動にとりくみ、脱原発の強い意志を政治に届けよう。
脱原発1000万人署名については
さようなら原発1000万人アクション
脱原発・持続可能で平和な社会をめざして
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