人権侵害救済制度の確立に向けて今国会での闘いに総力をあげよう
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「吾等の中より人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする者の集團運動を起こせるは、寧ろ必然である」と自主的な部落解放運動に起ち上がることの思想的な核心を明確にして、部落差別との闘いへの結集をよびかけた全国水平社創立から90年。爾来、多くの先達たちの血の滲むような闘いの積み重ねによって、われわれの運動は大きく前進してきた。
何よりも、永年にわたる部落差別によって、意図的に放置されてきた低位な生活環境、経済的問題の解決に向けた施策の推進が国の責任であることを明確にさせてきた。より具体的には、33年間の「特別措置法」によって、部落の住環境は大きく改善され、部落産業の振興や雇用対策、奨学金制度による進学率の向上など、一定の成果をあげてきたのである。
一方で、組織と運動にはびこってきた行政依存体質や同和対策事業をめぐるさまざまな不祥事など、率直に反省すべき点もある。われわれは、全国水平社創立90年という大きな節目にあたって、この間の闘いの成果と合わせて、こうした部落解放運動の負の遺産ともいうべき課題もまた真摯に総括してきた。
いま、こうした闘いの到達点と課題を共有化しながら、これからの部落解放運動の闘い、まさに部落差別の撤廃に向けたさまざまな課題にとりくんでいかなければならない。その自覚と責任をもって、ともに闘いをすすめていこう。
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政権交代以降、民主党は、「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム」(PT)を設置し、昨年8月に「人権侵害救済法中間どりまとめ」.をまとめた。政府も、昨年12月に「人権委員会設置等に関する検討中の法案概要」、本年2月に「人権委員会設置法案(仮称)の骨子(案)」を示した。3月には、超党派で構成されている「21世紀人権政策懇話会」(会長・中野寛成・衆議院議員)が、野田佳彦・首相、小川敏夫・法務大臣宛ての「要請書」を手渡した。3
われわれは、この間、確認してきたように、「民主党政権のもとで法案を実現する」という基本的なとりくみ方向のもとで、人権侵害救済制度の確立に向け全力をあげて闘いをすすめる。
人権擁護推進審議会が、人権侵害救済制度の確立の必要性を指摘したのは、01年である。それから10年以上が経過している。このような立法不作為を許してはならないのは当然だ。この間、02年に「人権擁護法案」が国会に提出されたものの、多くの問題点が指摘され、われわれは、「法案」の抜本修正を求めて闘いをすすめてきた。設置される人権委員会の独立性の問題、救済制度の実効性、迅速性を求める点など、法案にたいするわれわれの基本的考え方は変わっていない。
われわれのこれまでの闘いからすれば、今回の「骨子(案)」は、不十分な点も多い。消費税増税をめぐっての国会情勢も先行きが不透明である。
こうした政治情勢をふまえながら、独立性が担保された人権委員会の設置を大きなステップとして、ひきつづき、人権委員会の政策立案機能の充実など救済制度の確立に向けたとりくみが必要になる。とくに、5年後の見直しをふくめて、人権政策推進のための人権省(庁)、人権局などの体制の整備、確立はもっとも重要な課題だ。
差別が社会悪であることを広く社会的共通の認識として定着させていくために、「人権委員会設置法案」の今国会実現を全力でかちとるとともに、この救済制度をさらによりよいものにするために、断固とした闘いを全国ですすめよう。
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