「解放新聞」(2012.04.16-2565)
同和問題をふくめ人権についての深い理解が欠けていたと
危ないので速やかに出なさいと
【石川】「修学旅行の行き先には同和地区という所がある」「一般の人よりもひじょうに貧しい地区」「知らずにはいっていって、ぜんぜん別のことで笑っていても、自分たちのことで笑っていると勘違いされるかもしれない。そうでないといって謝罪しても、それですまないこともある。危ないので、速やかにすぐに出なさい」
こうした内容の注意が、2011年4月22日、金沢市内の中学校での修学旅行説明会であった、との告発が4月25日に北陸事務所にあった問題についての金沢市教委への糾弾会を3月26日午後、金沢市役所でおこなった。
被差別部落があるとの前提でと
糾弾会では、▽発言の差別性と問題点の整理▽本事件から教訓化するものの整理▽今後の課題の整理をおこない、一連の発言は学校や市民の意識の反映であり、市内に被差別部落が存在し、学校に部落出身者がいるとの認識にたつ必要性を指摘し、市教委で同和教育についての資料を作成するよう求めた。
金沢市教委は、目の前に出身者がいるとの前提にたつことの意識はなかった。同和問題をふくめ、人権についての深い理解が欠けていた。今回のことは私たちの責任であり、みなさんの意見も聞きながら、金沢市同和教育研究協議会とも連携し、しっかりとりくみたい、との姿勢を示した。
説明会には発言者以外に8人の教員が参加し、だれも問題に気付かなかった。さらに説明会の打ち合わせで、他の教員から「同和についてもふれておいたほうがいいよ」と助言があり、発言につながっていた。
糾弾会のまとめでは、教訓を全市化し共有するためにも、市教委としての統一見解を文書にしてまとめるよう要請。今回の提起をふまえ、整理することになった。
糾弾会には、岸田副委員長、西島書記次長、池田中執、田川中執はじめ近畿ブロック、北陸事務所、石川県教組、石川県同教、金沢市同教など23人が参加。金沢市教委からは上林雅彦・教育次長など7人が出席した。
授業できるよう勉強との決意も
この糾弾会に先立ち、2011年12月26日、金沢市役所で当該中学校を対象にした糾弾会をおこない、説明会で注意事項のなかに同和地区についてふれたことで、誤った認識を子どもたちに与えたことを反省。教職員の同和教育研修の実施や、3年生が卒業するまでに、生徒に与えた誤った認識を修正することなどを確認した。
部落解放同盟からは、もう一歩ふみこんで、部落問題に正面からとりくむよう求め、発言した教員からは、他者と自分を大切にし、部落差別、障害者差別などについて授業できるように勉強していく、との決意も示された。
さらに11月1日には、金沢市役所内で事実確認会をもった。
確認会では、なぜ注意事項のなかに「同和地区」がはいるのか、さらに説明した教員と他の教員の間で「ふれておいたはうがいい」というだけで会話がつながっていった背景などを明らかにするとりくみをすすめ、こうした説明をした当該中学に、部落出身者がいたらどんな思いをもつか、ということもふくめ、掘りさげて考えるよう求めた。
2人の教員は、そうした思いがあれば説明はちがったものになっていたと回答。校長自身が、同和教育をうけたこともなく、教員になってからはじめて研修で教わった。「それぐらいの認識だったと今回の件でつくづく思った」と話した。
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