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部落問題資料室
NEWS & 主張
実態調査もとに要請
内閣府男女共同参画局に

「解放新聞」(2012.04.23-2566)

女性運動部が在日・アイヌ女性とともに
 中央女性運動部は、アイヌ協会札幌支部、アプロ・未来を創造する在日朝鮮人女性ネットワークの女性とともに4月9日、内閣府男女共同参画局に要請をおこなった。今回の要請は、第3次基本計画の第8分野にはじめて文言として入った「同和問題等に加え、女性であることからくる複合的に困難な状況におかれている場合がある」の課題解決に向けたもの。また、国連・女性差別撤廃委員会からの勧告にもかかわらず、実態把握をしようとしない政府に、IMADR・JC(反差別国際運動日本委員会)とともに3団体の女性が実施した独自のアンケート調査結果をもとにした要請でもある。
 IMADR・JCの原由利子・事務局長は、「今年の10月31日に国連で普遍的定期審査(UPR)がある。08年に日本政府が初めて審査を受けた時、積極的にとりくんでいく項目として「マイノリティ女性が直面している課題」をあげ、政府の中間報告でも「とりくむ」と記述されてはいるものの、政府の報告からは具体的施策は抜け落ちたまま。監視専門調査会の委員に、アンケート調査結果をヒアリングしてほしい」と要請した。
 女性運動部からは、05年、全国女性集会で、1405人のアンケート調査を実施した。その後、6府県で独自調査を実施し、1万1265人のデータを収集した。そこで明らかになったのは、①職場にどんな制度があるのか知らなかったり、制度を利用できない職場で働いている②非識字者のなかには、若年層も存在する③結婚差別体験者が3割存在する④DVについても、結婚差別を乗り越えて結婚したカップルの DVの背後に部落差別がある。相談についても部落差別の実態を知らないと2次被害をおこすことがある、などの実態が示された。
 要望として、▽相談業務にあたる人がスキルアップ(技術向上)できる仕組みを内閣府でつくり、各都道府県に広めてほしい▽マイノリティ女性の実態を知らない審議委員が多い。当事者の声を聞き、当事者も委員にはいれる態勢づくりを、と訴えた。
 この行動には、部落解放同盟から岸田女性運動部長、福田副運動部長、山崎中執、中田理恵子・女性運動部員が参加した。また、文科省の要請には福島みずほ参議院議員が同席した。

少数者の声届ける
内閣府、文科省に
  アイヌの代表(アイヌ協会札幌支部)からは、▽人権相談や識字問題が緊急の課題だと捏起し、「恥ずかしいもの」とされてきた伝承文化にたいしては大事だと思っている人が多かった。寸断されると継承が困難になる。財政的な支援と施策が必要▽高校中退率も高く、親の代から受け継いでおり、なかなか抜け出せないのが現状、施策の充実を、と求めた。
  在日コリアン(アプロ・未来を創造する在日朝鮮人女性ネットワーク)からは、日本で生きていくうえで識字の必要性と民族のアイデンティティが重要であると訴えるとともに、DV被害者も2割あり、複合的な原因がある。差別をのりこえて結婚しても正しい知識のない結果は、命の危険さえともなう。解決には正しい歴史認識が必要だ。マイノリティの視点をもった、相談実務者が必要だ。また、選挙権はないが自分たちの生活にかかわるからみんな政治には関心をもっている。アンケート用紙の届かない人たちはもっと深刻な状況にあると認識してほしいとアンケート結果からみえた事例を施策に反映するよう求めた。
  文科省にたいしては、朝鮮学校への高校授業料無償化の適用を早急に判断すべきだと要請した。参加者からは、▽実施直前になって政治的判断で保留され、昨年8月末からの再審査が長引いている▽戦前の「不当な支配」の反省が逆に利用されている▽朝鮮学校は各種学校の認可を受け、大学受験資格も認められている▽税金も国民年金も介護保険も日本国籍のある人たちとおなじように支払っている▽国際的な人権基準にそった判断をすべきであり、政治判断ではなく子どもの教育の観点から早急に実施をするべきだ、と要請。福島議員は、「すでに決断するときだ」と文科省の早急な決断を求めた。


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