「解放新聞」(2012.05.14-2568)
事件を考える
この学習会は、近江八幡市と安土町の合併をめぐって旧安土町では合併賛成の町長にたいするリコール運動がおこり、町長がリコールされるなど混乱が続いていたなかで、2009年8月7日にひらかれた「安土町長の解職投票にあたっての町長の思いを述べる会」で合併反対派の住民が「なぜ、この合併で、よっ、えたのいるまちと一緒になるのか」という差別発言をおこなった事件。合併をめぐるなかで社会意識として存在している部落差別意識が表面化したもの。
学習会では、「合併反対の理由として被差別部落にたいする差別語を使っており今日までの啓発の成果を水泡に帰す重大な部落差別事件である」とし「人権に関する市民意識調査」をおこない、課題を分析し、合併後の新市での「人権条例」「人権擁護に関する施策の基本計画」策定につなげるなど、近江市教育委員会の西村健・次長が事件の概要と今後のとりくみについて報告した。
県連からは、差別発言者は一番最初に挙手して発言していることから確信的差別発言事件であり、合併にたいして被差別部落のある市町との合併を忌避する広範な社会意識が存在している、今日までの同和教育・啓発の点検と見直しが必要と訴えた。
差別の歴史学ぶ
その後、「市町村合併と差別の歴史」と題して大阪市立大学特任教授の上杉聰さんが講演し、「過去の絵地図でみても被差別部落が排除・忌避されていた。また、最初の戸籍である壬申戸籍にも被差別部落には「旧えた」などの差別記載や別建てで記載されるなど差別記載が現代まで継続されてきた歴史がある。このような「部落」にたいする排除・忌避する社会意識が今日でも根強く存在している」と話した。
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