「解放新聞」(2012.05.21-2569)
提言書を精査
提言書は、昨年8月の委員会設置後、のべ8回の会合をへてまとめられたもので、①問題の発端②講演会の企画・運営③問題の経過④学校側からの講師への問い合わせと回答⑤委員会で明らかになったこと⑥委員会としての提言⑦委員会の構成と会議の開催状況、で構成され、3月28日に同大学側に手交、3月30日に記者発表、4月3日に県連に報告、提出された。
学習会では、参加者から①同大学は教員養成の大事な機関であり、国の基本計画でとくに人権問題の研修が重要であるとされている特定職業従事者でもある。提言を受け、大学側は、今後どういう対応をするのか②講演記録や研究報告をつくるにあたって、幾人かが携わりながら、何ゆえ、何ら指摘がなかったのか。その人たちの同和問題にたいする認識はどうだったのか③この差別発言は、この講演会だけだったのかなど、提言書から伝わってこない疑問の意見が出された。県連は、今回の議論をふまえて、同大学に働きかけることにした。
福岡教育大学の差別講演問題
福岡教育大学主催の講演会(09年8月1日)で、外部講師が「対応困難な保護者の見立てとその対応」をテーマに、校区内に同和地区がある中学校を、ユダヤ人が大量虐殺された強制収容所に例えて「ここは学校なんかじゃない。アウシュビッツだ」などと、同和地区を校区に含む学校にたいする差別的な予断と偏見を助長する発言をしていた問題。講演会には教職員を中心に61人が参加していた。
大学も、ことの重大性や問題点を認識せず、10年3月に「講演記録」として冊子にまとめ、175冊を他大学や教育関係機関へ配布し、11年2月には1537冊を増刷し、県内の小中高校に配布。さらに同年3月には「研究紀要」として149冊を他大学や教育関係機関に配布していた。
なお、「講演記録」「紀要」の作成時に同大学の関係者もかかわっていたが、何らの指摘もなかった。
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