就職差別撤廃の共同闘争を前進させよう
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就職差別撤廃のとりくみは、部落解放運動の重要課題であり、闘いの積み重ねのなかで「統一応募用紙」(1973年)、公正採用選考人権啓発推進員(1977年)、「職業安定法第5条の4」と「大臣指針」(1999年)などを実現させてきた。「統一応募用紙」の内容も数回にわたり改善されてきた。これらは、就職差別につながる求職者の個人情報の収集を制限することによって、就職差別を防ごうとするとりくみだ。これらとあわせて、労働行政や自治体、教育関係者、民間団体などによる啓発活動もすすめられてきた。これらのとりくみによって、40年前のような露骨な就職差別は少なくなったが、「統一応募用紙」の趣旨に違反する事象は、この5年をみても毎年1000件(厚労省調べ・事業所数)をこえており、なかなか減っていない。
また、最近の新規大卒者などの採用・応募は、インターネットを使うことが多く、エントリーシートの在り方など、問題点が指摘されている。
これらのことをふまえ、違反事業所をなくしていくためには、啓発や指導の強化とともに、チェック体制の整備が必要となっている。
その一つの有効な方法として現在、新規高卒者を対象に多くの都道府県の高等学校で「就職受験結果報告書」のとりくみがおこなわれている。就職受験した学生(求職者)が、応募書類や面接などに問題がなかったか報告する仕組みである。しかし、地方によっては公立高校のとりくみに限定されていたり、不十分な点が多い。このとりくみの全国化と充実、そして大阪府内の大学などで実施されている新規大卒者などを対象とした「就職受験結果報告書」のとりくみの全国化も必要だ。
また、このチェックを有効にするために、求職者の啓発も必要だ。学校での人権教育の強化と結びつけ、その一環として就職差別撤廃の課題を盛り込む必要がある。
今後、国・労働行政、自治体・教育委員会、学校関係などにたいする働きかけを強め、これらの実現を図っていこう。
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部落解放中央共闘会議は、6月を「就職差別撤廃月間」に設定し、加盟の労働組合や地方共闘会議にとりくみをよびかけている。労働組合の立場から、就職差別をなくしていこうとするものだ。1995年からはじまり、2005年からは、啓発用リーフレットを毎年つくり各労働組合に配布している。1993年と2000年には労働組合を対象にアンケート調査を実施し、その結果をふまえてパンフレットも2回発行してきた。
中央共闘の中心的加盟組織であり、労働組合のナショナルセンターである連合も08年にアンケート調査にとりくんだ。そして昨年12月の人権週間に、傘下の構成組織や地方連合会に文書を出し、就職差別撤廃に向け「様々な労使の協議、交渉の場を利用して経営側の認識や、使用されている履歴書などの様式のチェックを」ととりくみをよびかけている。ナショナルセンターとして初めてのよびかけであり、このような就職差別撤廃のとりくみは、求職者と労働組合の垣根をこえた連帯という意味でも意義深い。また企業の内部から点検する効果も大きいと考えられ、今後のとりくみ強化を期待したい。
また各地方共闘会議では、数年前から就職差別撤廃に向けて県労働局や県行政にたいする申し入れ行動が広がり、昨年は19県でとりくまれた。
このような就職差別撤廃に向けての労働組合との共同闘争をさらに前進させていく必要がある。
前述のチェック体制の整備も幅広い共同闘争によってこそ実現できるものだ。
6月は男女雇用平等月間だが、就職での男女差別についてもチェック体制といえるものはないのではないか。男女雇用平等の運動との連携も視野に入るだろう。学校や教育関係者、人権確立にとりくむ企業もふくめ幅広く連帯し、就職差別撤廃の共同闘争を着実に前進させていこう。
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