【東京】「若者の不安定就労が社会問題化する今、就職差別撤廃のとりくみを考える」をテーマに、第13回就職差別撤廃東京集会(菱山謙二・実行委員長、筑波大名誉教授)が6月8日午後、東京・豊島公会堂でひらかれ、企業や行政の人事担当者など563人が参加した。集会では、基調報告と、記念講演「就職差別撤廃をめざす 統一応募用紙制定40年に向けて」。また、行政と教育現場から現状と課題が報告された。
基調報告をした近藤登志一・実行委事務局長は、就職(採用選考)差別撤廃へのとりくみについて、第1は「統一応募用紙のとりくみ」をあげ、来年は40年になるが違反事例が多いと指摘。第2に「公正採用選考人権啓発推進員」の設置は、事業所の拡大と推進員の充実を課題としてあげた。第3には法的整備、国連で「雇用と就労における差別撤廃」の位置づけがされているが、ILO(国際労働機関)の111号条約を日本政府が未批准などを今後の課題として示した。こうしたとりくみのなかで、「若者の不安定就労」を「雇用や就労からの排除」として位置づけ「排除のない社会システムの確立」は今日的な課題だと提起した。
記念講演は、元東京都岡和教育研究協議会事務局長の松浦利貞さん。73年に制定された統一応募用紙制度は、20年前の集会で指摘した「長年にわたって多くの人びとの闘いによって統一応募用紙が制定されたことは、就職差別の撤廃と人権確立にとって大きな意義をもつものだった。その趣旨はいまだに定着していないままだ」と強調した。
報告1は、「新規学校卒業者を取り巻く採用選考の現状と課題」と題して佐藤秀雄・東京労働局職業安定部職業対策課長補佐が、人件費をコスト視する企業が多いことや「公正採用選考人権啓発推進員」の設置の多くは人事担当課があたること、最近はネットによるエントリーシートが広がり企業独自のものもあるが、そこでは、面接もなしに選考されていく現状を報告、ISO26000の発行など、世界基準となる人権基準にそった企業活動、社会的責任が問われているとのべた。
また、報告2では、「高校生の進路保障の現状と課題」について桐畑善次・東京都同和教育研究協議会副会長が報告した。「企業の違反質問には答えない」という指導をしてきたが、子どもたちは「就職できなくなるのではないか」と動揺する。企業の意識をさらに高めることが必要であるが、教育現場にも差別を見抜く力が必要だとのべた。
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