「なぜメディアは狭山事件を検証しないのか」をテーマに7月25日夜、アジア記者クラブは東京文京区民センターで定例会をひらき、マスコミ関係者など70人が参加した。狭山事件と部落差別との関係や、記者の記事にたいする責任など、マスコミ報道の責任とあるべき姿が論議された。
メイン講演をした鎌田慧さんは、権力と癒着したマスコミの報道姿勢を批判。狭山事件の石川一雄さん夫妻や、中山武敏・主任弁護人も訴えをおこなった。
主催者あいさつで、森広泰平・事務局長は「えん罪事件には、証拠隠しやデッチあげもあるが、検察や警察の問題はなかなか追及されない。大きな事件として狭山事件は避けられない。当時の報道はひどい。もう一度ふり返り、犯罪報道に加担したことを検証してほしい。再審事件は再審が決まってからでは誰でもいえる。再審が決まる前に再審、無実を明らかにすることをジャーナリズムが示すべきだ」と問題捏起した。
鎌田さんは「狭山事件の一つの問題は部落差別。遺体発見現場の近くに被差別部落あったから犯人は部落だと。当初から差別意識による捜査があり、それを近隣の人たちの差別意識が増幅してきた」と指摘し、「地域住民の差別意識を突破できず、当時の報道は、いまでは信じられないほどの差別的な報道をし、えん罪を誘導した。記者白身の差別意識の証明だ」と強く批判。
「(石川さんが)自供に追い込まれるまでマスコミは被差別部落をターゲットに報道した。記者はどんな責任をとるのか」と提起し、「昔の記者が書いたこととして受け止めず、記者一人ひとりと会社の姿勢が問われている。現在も「部落解放同盟がやっている事件」という偏見が報道姿勢にも出ている。しっかり検証を」と訴えた。
石川さんは「当時は社会的に無知だった。弁護士に反感をもっており、2審では弁護士に話さず単独で無実を主張した。裁判さえはじまれば私の無実は明らかになる。無罪のあかつきには夜間中学で学びたい」と。石川早智子さんは「多くの人に支えられてきた。3次再審で終止符をうちたい」と。中山主任弁護人は3者協議の現状を報告し、「狭山事件は、裁判官が部落問題を理解してくれるかどうかが大事な視点。虐げられた者の立場で真実を見ることができるかが問われている」と訴えた。
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