「解放新聞」(2012.08.13-2580)
「○○のエタか」と
県連の吉岡闘争本部事務局長が、「行政は、部落差別をなくす責務を負っている。今回の差別発言事件の課題を行政として明らかにしてもらいたい」と訴えた。
また地元の書記長からは、「「○○はエタ」など直接的に賤称語を投げつける発言は、近年、あまり例を見ない悪質な発言であり、「来てもろうたらクビになる」などの発言には、「解放同盟が徒党を組んで押しかけてくる」という予断と偏見が背景にある」と指摘した。
当事者のKは、「○○地区は被差別部落、部落の人を怒らせたらたくさんの人が押しかけてくるなど、父から教わった」とのべ、「今回の件でみずからの差別心を恥ずかしく思った。差別はつくられたものと理解し、もっと勉強をして地域の同和研修などに積極的に参加していきたい」とのべた。
組合からは、「差別をなくすという立場の公的機関で反社会的な事件を起こしたことは痛恨の極みで心からお詫びしたい」と深謝し、「幼いころからの誤った教えが潜在的にあったことが事件の引き金になった。今後、各位の指導を受けながら、身のある人権学習を実施していきたい」と反省の弁をのべた。
最後に、吉岡闘争本部事務局長が、「Kさんの回答から差別の背景が見えてきた。小さいときのいじめと親からの予断と偏見が今回の事件となった」とまとめ、次回は学習会をより深めていきたいとのべた。
第3セクターの職員による差別発言事件の概要
差別発言は、組合職員K(当事者)が行政の委託業者に苦情の電話をかけたときにおこった。
電話を受けたTさんは、担当者が不在だったので「担当者に折り返し電話させましょうか」と返答したところ、いきなりKが「お前はどこか」とTさん(被害者)にたずね、Tさんが「○○です」と答えると、「○○のエタか。○○はエタのあれやろうが」と発言した。
その後、差別発言を投げつけられたTさんが憤慨して興奮したやりとりとなったが、Kの住所を聞き出したところ、Kは住所を告げたあと「(会社に)来てもろうたらクビになる」「家に来てもろうたら困る。家族崩壊につながる」と発言。
事件は、その日のうちに役所の人権・同和対策室に報告された。
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