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部落問題資料室
NEWS & 主張
事件の全容解明と再発防止を
プライム事件で厚労省へ要請

「解放新聞」(2012.09.03-2583)

 昨年発覚した「プライム事件」での不正な職務請求用紙をもちいた戸籍謄本の大量取得した事件をはじめ、今年6月にはハローワーク横浜の職員が雇用保険にかかわる職歴情報を調査会社に提供していた事件、また、携帯電話会社の顧客情報、消費者金融の顧客情報の不正取得事件があいついだ。さらに、7月には、長野県警の警察官による車検情報を調査会社に提供した事件が発覚した。中央本部は、これらの個人情報が結婚差別や就職差別などへ悪用されている疑いが強いことから、8月8日、厚生労働省へ要請をおこない、事件の全容の解明とともに、被害者への対応、再発防止など7点を要請。部落差別撤廃と人権尊重、公正な採用選考、安定雇用の実現に向けたとりくみを求め、真相究明へ情報交換をおこなうことを確認した。この要請は、吉岡、片岡、谷川中執がおこなった。省からは、職業安定局派遣・有期労働対策部就労支援室から佐藤賢一郎・室長補佐ほか4人が出席した。
  吉岡中執は、公正採用を推進するハローワーク職員の情報漏洩が明らかになったのは、これまでなかったことで重大な事件として受けとめているとあいさつ。それを受け、谷川中執が7点にわたって問題提起をした。佐藤室長補佐は、「労働行政の職場で生じた事案として、重く受けとめている。現時点では全体像の把握が困難な状況にある。ひき続き事実関係の解明に努める。これまでも求職者、被保険者の個人情報保護については職場をあげてとりくんできた。どちらかといえばミスの発生防止という観点が中心。確信犯的な情報漏洩のリスクを具体的に念頭においた対策は、結果として十分ではなかった」とのべ、当面の再発防止の一環として6月12日付けで都道府県労働局に「ハローワークにおける個人情報の適正な取り扱いの徹底」を指示し、「①アクセス権限の限定②アクセス記録のチェック③研修の強化」を徹底しながら、公正採用選考にかかわる企業への啓発などをしっかりとりくんでいく」とのべた。
  吉岡中執は、他のハローワークでの類似の事例がないかについての調査を求める一方、これらの個人情報が結婚差別や就職差別などへ悪用されている懸念が消えない。この事件の背景には、そうした要望をもつ社会的背景があることを指摘。片岡中執は、地方労働局へ要請したが職員の雇用条件が不安定であることを指摘し、時給も安く非正規職員の方が多い。このような状況では民間企業を指導できないのではないかと労働行政の現場環境の問題をついた。また、谷川中執は、省としてもしっかり真相究明をしていく姿勢だと確認する。そのうえで再発防止と今後のとりくみにいっそうの工夫が必要だと要望し、今後も真相究明に向けた情報交換を確認した。

7項目の省への要請

 本部からの要請は、①ハローワーク職員による雇用保険に関わる職歴情報が調査会社に売り渡されていた事件にたいする省側の見解②何人のどのような情報が、どのような調査会社を通じてだれに流れ、何の目的で使われたのかの究明とそれにともなう人権侵害があったのかについての究明③同様な情報漏洩がないか都道府県労働局にたいして雇用保険被雇用者情報アクセス記録のチェックを指示したという結果について④都道府県労働局(ハローワーク)と都道府県・市町村と連携し、被保険者情報が漏洩した事実を被害者に通知し、被害の有無についての把握⑤一連の事件全容解明と再発防止に向け、法務省、総務省、警察庁、金融庁、などとの連携したとりくみ⑥労働行政職員にたいして個人情報の管理と人権に関する研修、公正な採用選考およびさまざまな差別問題について実効ある研修の徹底⑦今回の事件をふまえ「統一応募用紙」や公正採用選考人権啓発推進員制度の徹底と雇用主への指導・啓発強化など公正採用選考の推進に向けたとりくみの強化、を要請した。


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