「解放新聞」(2012.09.24-2586)
桶川市の男性が被害に
鹿児島県警の発表によると、S容疑者は行政書士にウソの説明をして埼玉県桶川市の会社役員Aさんの戸籍と住民票の取得を依頼、行政書士は行政書士会が発行する職務上請求書を使って戸籍と住民票を取得してS容疑者に渡し、見返りに3千円の報酬を受けとった。ところがAさんが事前登録をしていたため、桶川市は交付の事実をAさんに通知。Aさんはすぐ桶川市に情報開示請求をおこない、自分の戸籍・住民票をとった者の名前を突き止めたが、身に覚えがないものだったため、個人情報が不正にとられたと判断、弁護士と相談して鹿児島県警に被害届けを出した。その後、鹿児島県警が捜査に乗り出し、不正取得の事実を突き止めて逮捕したもの。
また、県警は、東京の男性が指示役、S容疑者が実行犯で、東京の男性は「大手信用調査会社から依頼された」とのべているが、この事件では鹿児島県内の3人の行政書士が絡んでおり、東京や大阪など県外12人分の戸籍や住民票が不正にとられている。
さらに、実行役のS容疑者から押収した名簿には、別に400人分の名前と調査会社への請求書が記されており、背後に大掛かりな身元調査のネットワークがあることを匂わしており、実態解明が急がれる。
県連の片岡明幸・委員長は、「今回桶川市での本人通知による不正の発覚は、不正を働けばバレルということを実証した。今回の事件は、本人通知制度の意義と有効性を立証するものだ」とのべ、当面は事件の全容解明に全力をあげたいと語った。桶川市の人権・男女共同参画課長は、「今回の不正取得の発覚は、本人通知制度によるもので、これを機会に不正請求の防止、抑止力が働くことを願う」とのべた。
身元調査を目的とした戸籍や住民票の不正取得防止のための本人通知制度は、現在201の自治体で採用されているが、この制度で不正が発覚して摘発されたのはこれが初めて。
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