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部落問題資料室
NEWS & 主張
非を認め変革を誓う
福教大の外部講師差別講演事件で

「解放新聞」(2012.10.08-2588)

 【福岡支局】県連は8月27日、福岡教育大学の外部講師差別講演事件(2569号既報)で、差別講演をした外部講師Aが出席するなか、福岡市博多区のパピヨン24で同大学と学習会をおこない、差別発言をおこなった外部講師Aと大学側が、ともに非を認め、変革を誓った。

学習会で大学深謝
  学習会には、県連から執行部や市地協役員ら37人と外部講師が居住する愛知県連から山崎鈴子・書記次長(中執)が参加、大学からは学長をふくめ事件にかかわった役職員ら11人が出席した。同大学と協議するのは6月11日の確認会(2578号既報)以降2回目。
  学習会では、県連の組坂繁之・委員長が、「事件は、教員を養成する場で発生しており、誠に残念。講演を聴いた先生方や大学関係者も何も指摘できず、さらに講演録や紀要として送付した。差別を助長する今回の事件は、教育の荒廃につながる。「人権教育・啓発推進法」をしっかり受けとめ、教育現場で活かしてほしい」と訴えた。
  学長は「今回の事案で、多くの方にご心配やご心労をかけたことを深くおわびしたい」と深謝、「直ちに学内に調査委員会を立ちあげ、対応をすすめてきた。二度と起こさないために何ができるのか、何をなすべきかを、しっかり考えていきたい」と応えた。

差別の実態に学ぶ
  学習会は、吉岡正博・県連書記長が、差別発言をした講師Aにたいして、被差別部落(民)にたいする差別的な予断と偏見を再生していることなどを指摘し、大学には、差別講演を指摘できず聴講者への啓発ができなかったし、「差別図書」を広範囲に発行し、差別を助長したなどの問題点を提起し、回答を求めた。
  講師Aは、「自分の犯した罪の重大さを改めて認識した。私の講演を聴いた方への対応は、関係者の方がたと相談しながら、みずからがどう向き合えばいいか、自分白身を変えていきたい」と改心に努める考えを示した。大学は、事件以降のとりくみを説明し、学長が、大学がとりくまなければならないこととして、なぜ講演で誰も指摘できなかったのか、問題を多く含んだ講演の冊子をどうして作成したか、など5点をあげ、解決への方向性を示した。
  最後に吉岡書記長が、「誤認、虚偽などの講演は、同和問題だけでなく、人権侵害を起こす。講師のAさんには今後の行動を静観させてもらいたい」とのべ、大学側にたいしては「学長が5点にわたって整理されたが、より中身のあるものにするため、ぜひ、差別の実態に学ぶという行動をとって、具体的に実施してほしい」と要望した。

事件の概要
  福岡教育大学主催の講演会(09年8月1日)で、外部講師が校区内に部落がある中学校を、ユダヤ人が大量虐殺された強制収容所にたとえて「ここは学校なんかじゃない。アウシュビッツだ」などと、部落を校区に含む学校にたいする差別的な予断と偏見を助長する発言をしたもの。
  講演会には教職員を中心に61人が参加。大学もことの重大性や問題点を認識せず、10年3月に講演記録として冊子にし175冊を他大学や教育関係機関へ配布。11年2月に153-7冊を増刷、県内の小中高校に配布。同年3月に研究紀要として149冊を他大学や教育関係機関に配布した。なお、講演記録や紀要の作成時に同大学の関係者もかかわっていたが、何らの指摘もなかった。


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