【群馬】県連は、9月20、21日の日程で、東北地方の被差別部落研修をおこなった。藤本義男・県連書記長、坂本邦男・生活人権対策部長ら45人が参加、福島県会津地方と山形県米沢市の部落やキリシタン弾圧とのかかわりを学んだ。案内は長年オルグ活動を続けている栃木県連の和田献一・委員長がおこなった。
一行は、福島県会津坂下町中央公民館で和田委員長から福島、山形の部落の状況を聞いた。東北地方には「部落はない」といわれてきたが、藩政一覧などで東北各地に部落は存在していた。しかし、部落を歴史的にも存在しなかったことにする意識が、部落民に離散を強制して解体させたところもある。しかし、沈黙のなかにおかれ、劣悪な環境がそのままにされているところもある。会津坂下町では、部落側だけが側溝が細くなるという現実がいまだに残されている。部落の側が低地にあるため、呑みきれない雨水や雪解け時の水が側溝にあふれて部落の側に流れ込む現実を見た。和田委員長が地域の人と地道な行政交渉を続けた結果、一般対策ではあるが少しずつ環境改善がすすんでいるようすが見られた。かつて町は、同和対策事業を住民に黙って実施した。住民側は「同和地区実態調査除外申請」を出すまでの事態になり、それ以降、政府の問い合わせに町は応答していない。
あるいは、会津若松市でも同様に、同和対策事業の実績がありながら、真剣にやろうとはしなかった。部落の隣接する地域の土地整備事業を優先させた。部落への差別感情に乗っかることで推進した事業はきわめて不自然な区画を現出させた。高低差を無視した下水路など実態を放置し続けた行政の姿が見てとれる。
このような現実は山形県でも同様だった。米沢市でおこなわれた土地整備事業は、土地整備事業に協力した地区住民をことさら狭い高層住宅に押し込んだ。耐用年数も来る。周りの市営アパートとの一体性もない。部落の土地を体よくとりあげた格好だ。それでも入居できなかった人たちは、最上川の反対側のかつての刑場、その後にごみすて場になっていた土地に移転させられた。冬の厳しい米沢である。地盤沈下によってかさ上げをしなければならない実態を視察した。
会津では次期NHK大河ドラマ「八重の桜」のキャンペーンが盛りだった。米沢でも赤字の藩財政を立て直したという上杉鷹山の賛美に彩られていたが、部落の存在はないものとされつつも、密やかに確実に差別のまなざしをもって語りつがれていることを実感させられた。それほどまでに「会津魂」がすばらしく、藩主の領民を思う名君がいたのなら、なぜに今日も部落の人たちのみが、不当な現実のなかに置かれなければならないのか、考えさせられる研修となった。
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