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部落問題資料室
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各地の実践・現状をもちより、第46回全研で大いに論議を重ねよう

「解放新聞」(2012.10.29-2591)

 「人権確立社会の実現のため、全国水平社創立90年を機に、あらゆる差別を克服する具体的な実践交流と研究活動をさらにおしすすめよう!」を合言葉に、11月7~9日の3日間、滋賀県長浜市で、「部落解放研究第46回全国集会」がひらかれる。
  初日の11月7日には、「震災復興と人権」というテーマで湯浅誠さん(反貧困ネットワーク)、寺川政司さん(近畿大学准教授)の記念講演が予定されており、ついで「「分かち合い」の経済学」と題して、神野直彦さん(地方財政審議会長)の記念講演がおこなわれる。2日目は、7つの分科会と1つのフィールドワークにわかれ、具体的な実践の報告と討議が深められる。
  日本社会での人権の状況を顧みたとき、自由民主党の長期政権が終焉を迎え、政治改革と国民の生活を支えるというスローガンで登場し、多くの期待を得た民主党政権のそのいずれもが、長期におよぶ格差社会と経済不況の長期化、民衆の貧困化、働く者の非正規とワーキングプアの社会状況を改善することができなかった。それどころか、市民の政治と生活への閉塞感や不安・不満は増すばかりであり、鬱積した感情はとどまることを知らないほどの政治不信の高まりという状況をつくりだしている。
  こうした政治不信の高まりのなかで、東日本大震災がおこり、まさに未曾有の災害を前に、人びとの心が疲弊し、未来への希望が見いだせない。
  しかし、大震災という今回の受難を、被災しなかった人びとをふくめ、市民のすべてが自分のこととして受けとめ、社会的連帯や相互扶助の精神を取り戻すことができれば、災い転じて未来への足がかりとすることができると確信するものでもある。
  神野さんの「分かち合い」という表現も、社会への警鐘として提唱されているのであり、「排除」や「孤立」、「疎外」や「忌避」が進行する社会を〝人権″という1つのキーワードでひもとき、共助と包摂の社会へ、その進路を舵取りすることが部落解放運動に求められている。

 わたしたちは未来に向け、部落差別の完全撤廃と、同時にあらゆる差別と人権侵害を葬り去り、人権が確立された社会の実現をめざしている。こうした崇高な目標をしっかり展望しながら、しかし現実には差別が放置され、広がり、さまざまな形の人権侵害があいついでいる。それは、個人がまったく知らないところで、戸籍や住民票が売買されていたり、個人の携帯番号が売り買いされていたり、現在までの職歴が暴かれ、売買されているという事態など、大量の個人情報が侵害されているという実態が、プライム事件として発覚してきており、真相が徐じょにではあるが明らかにされつつある。
  こうした具体的な人権侵害の事例を出し合い、さらには地域各地でとりくまれている人権を柱とした、地道な地域活動やNPOなどの社会的市民運動の実践など、全国研究集会にもち寄り、大いに議論を重ねようではないか。ともに集おう。滋賀県へ、全研へ。


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