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部落問題資料室
NEWS & 主張
実態調査からまちづくり運動へ
差別と生活の実態を分析

「解放新聞」(2012.11.12-2593)

奈良の部落女性―実態調査学習会
  【奈良支局】県連女性部が、「みずからの手で部落女性の実態を明らかにしよう」そして「その結果をまちづくり運動に活かそう」を合言葉に、2010年からとりくんできたムラの女性たちの生活実態を「奈良の部落女性―生活実態調査から見えてきたもの」としてまとめ、6月にダイジェスト版を完成させた。
  調査で明らかになったデータをより詳細に分析しようと10月6日、奈良市・奈良県解放センターで「生活実態調査学習会」をひらき、女性部員35人が参加、熱心な意見交換をおこなった。
  学習会では、松谷操・県連女性部長が「一人ひとりが苦労して集めた調査結果を、みんなで意見を出し合い、より確かなものにしていこう」とよびかけ、5つのグループにわかれて、ダイジェスト版のデータをもとに、地域の実態、学歴格差、就業状況、部落差別認識、暴力などについて話し合った。

女性部員も高齢化
  地域の実態では、比較的生活が安定した、若い人たちがムラから出て行き、高齢化がすすんでいる。当然、若い世代の同盟員が減少傾向にあり、女性部員も高齢化している。一方、若い活動家が育っている支部では「子育て学習会」を通じて保育所の保護者など若い人へのよびかけを日ごろから心がけていると報告した。
  また、奈良県女性との学歴格差は依然として残っており、なかでも若い世代にも「読み・書き」に何らかの困難をかかえている人が調査で明らかになったが、「高齢者でも識字教室に入ることに勇気がいる」という発言があり、学校・地域でいかに学力保障にとりくむかが課題となった。
  子どもへの進学期待では、「男子は大学まで進学させるのがよい」と答えた人が多く、女子への進学期待の低さが明確になった。また世帯収入と子どもへの進学期待が関係していることも明らかになり、女性差別撤廃と経済格差の縮小のとりくみが大切であることを確認した。
  年齢別の正規雇用比率や平均年収が45~59歳で県女性を上回っていることについては、解放奨学金制度や就労保障にとりくんだ当時の部落解放運動の成果が大きくあらわれているとの意見が多かった。
  またグループ討議では、「結婚差別はまだまだ厳しいものがあり、普段は仲良くしていても、結婚となると反対する。何とか結婚にこぎつけても結局、離婚して帰ってくることが多い」など差別の実態が浮き彫りになった。


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