pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張

開示問題は差別と言明
本願寺派連携とり学び、とりくむと

「解放新聞」(2012.12.03-2596)

 NHKのテレビ番組「鶴瓶の家族に乾杯」(5月7日放送)で、ある俳優のルーツ探しを、浄土真宗本願寺派の寺院を訪ね、「過去帳」を手がかりにしようとし、閲覧を求め、寺院が「これが過去帳」といって明治年間の「門徒明細簿」や「門徒戸数控」を開示するようすが放送された(2582号既報)。
  この問題で、11月19日午後、浄土真宗本願寺派の聞法会館で「西本願寺における『過去帳』開示問題」の第2回協議会をおこなった。協議会では、第1回協議会での話し合いをもとに作成し直した、宗派としての見解が示されたあと、それをもとに討論をおこなった。
  最後に、今回の「過去帳」開示問題は、「まったくの差別、それ以外の何物でもない」(後藤壽邦・総務)ことを確認しながら、橘正信・総長が「門信徒に不信感を増大させ、同時に身元調査による差別の恐怖と悲しみを思い起こさせたことは、誠に申しわけなく思う」とし、▽僧侶の日常的な宗教的な営みが身元調査という現実的課題に相応していなかった▽宗祖の教えに立って、部落問題の解決に向かうことこそが真の同朋教団。この姿をとりもどすとりくみ-学びを深め、意識を変革し、運動をになう人材の育成―にとりくむ、ことを言明した。具体的には、①各教区、宗務所内で課題について研修会などにとりくむ②本山、各教区で差別の現実に学ぶために、定期的に中央本部や部落解放同盟各都府県連と連携をとる③教学上の課題について真摯に学びとりくむ、ことを宗派として確約した。
  中央本部からは松岡書記長が、本山の姿勢で末寺が変わることを強調。今回の事件は、部落差別であり、差別の助長・拡大を防ぐことの重大性をふまえ、再度見解の提出を求め、今後構築される本山の新たな執行部でも推進体制が組まれるよう、推移を見守っていきたい、とまとめた。

真剣に向き合う教団になってほしい
  協議会では、松岡書記長が今回の問題を部落差別として捉え、差別と真剣に向き合う教団になってほしい、そのときに差別を見抜く力があるかどうかが問われている、と問題を投げかけた。また、これまでのとりくみが形骸化し、差別の現実から学ぶという点が希薄になったのでないか、などの課題が出席者から指摘された。広島県連からは、「過去帳」の存在をどのように考えるのか、教学上の問題として総括すべき、などとともに、問題の寺院の過去の僧侶(勧学寮頭=真宗・宗教学のスペシャリストのなかの最高位の者)が1930年代の後半に部落の門徒を放逐した事実を指摘。今回の「過去帳」開示問題での集約を受けて、宗派としての姿勢を具体的なとりくみに結びつけていく方向で、各教区での協議で継続して反映・論議していくことになった。
  第2回協議会に出席したのは、部落解放同盟から岸田副委員長、松岡書記長、西島財務委員長、安田、池田、村井、高橋の各中執、広島県連の小森龍邦・顧問、冨中豊彦、岡田英治の各執行副委員長、政平智春・書記長など14人。本願寺派からは、橘正信・総長、後藤壽邦・総務、中尾史峰・統合企画室長、安部惠証・安芸教区過去帳又はこれに類する帳簿の開示問題に関する委員会委員長(安芸教区教務所長)など17人。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)