pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

総選挙は、部落解放・人権政策推進の政治条件を創り出す重要な闘い

「解放新聞」(2012.12.03-2596)

 衆議院が11月16日に解散し、12月4日公示、16日投開票の日程が確定した。今回の衆議院総選挙は、09年の政権交代、とくに民主党政権への大きな期待と、マニフェスト(政権公約)とかけ離れていくその後の民主党政権のありようをめぐって、与党である民主党からの離党者が続出するなど、民主党にとっては、厳しい選挙戦になることは必至である。
  一方、民主党への批判を追い風にしたい自民党は、政権復帰に向けて、日本維新の会などとの競合を制するために、より国権主義、反人権主義の主張を強めている。発表された自民党の政権公約には、「憲法改正」や「国防軍」の創設とともに、政府が閣議決定した「人権委員会設置法」に反対することが明記された。さらに、原発推進を打ち出し、尖閣諸島や従軍慰安婦問題などでも、とりわけ日本がアジアで孤立するような強硬な主張が盛り込まれている。また、生活保護給付水準の10%引き下げなど、貧困問題の社会的解決をめざすのではなく、かえって格差拡大社会をすすめる政策が列挙されている。

 われわれは、第2回中央委員会でも確認したように、民主党政権への厳しい評価は評価として、しかし政権交代の歴史的な意義を投げ捨てることなく、部落解放・人権政策の推進のために、今回の総選挙にあたって、あらためて民主党、社民党を軸に、小選挙区では政策協定を結んだ推薦候補の勝利に向けて全力をあげよう。
  政権を担った民主党への、われわれの期待は大きかった。とくに人権侵害救済制度の確立をめざして、民主党政権のもとで、具体的には、「人権委員会設置法」の実現にとりくんできた。昨年3月11日の東日本大震災以降、復興支援などのさまざまな課題が山積したなかで、政府・民主党は、人権侵害救済制度のあり方をまとめ、最終的には、11月9日の閣議で「人権委員会設置法案」の国会提出を決めた。しかし、16日の衆議院解散で、この法案は廃案となった。
  われわれは、とくに野田政権のもとで、人権政策の確立をめざすこの法案の取り扱いが政治的駆け引きや政争のための道具にされてきたことを厳しく批判してきた。
  「人権委員会設置法案」は、われわれのこれまでのとりくみ内容からは大きく後退したものであっただけでなく、何よりもこの法案の成立に向けた野田政権の消極的な姿勢を指弾してきたのである。

 われわれが政治に求めてきたのは、人権・平和・環境を基軸にした政治の実現である。この間の民主党政権は、残念ながら、こうしたわれわれのとりくみに十分応えていないばかりか、政治不信を増大させてきたといえよう。
  しかし、いま、再登板した自民党の安倍総裁は、かつて小泉政権を引き継いだときに、多くの反対の声を無視して「教育基本法」を改悪し、防衛庁の省昇格を強行した。こうした偏狭な「愛国心」の強制と、今回の「国防軍」の創設などの自衛隊の軍隊化、従軍慰安婦問題での謝罪を表明した「河野談話」見直しなど、かつて以上に、戦前回帰の軍国主義的な傾向をいっそう深めている。
  また日本維新の会などは、核武装の必要性にまで言及し、現憲法を諸悪の根源だと決めつけるなど、人権を無視し、平和を脅かす主張が声高に叫ばれている。
  今回の衆議院総選挙には、現在、14政党が候補者を出す予定である。離合集散をふくめて、選挙後にどのような政権が発足するのかは予断を許さない。しかし、われわれは、あくまでも部落解放・人権政策を推進させる政治条件を創り出すために、推薦候補の必勝と、衆議院比例の政党については、民主党、社民党を中軸にとりくんでいこう。
  とくに、福岡1区(福岡市東区・博多区)の松本龍・顧問は、厳しい情勢のなかでの選挙戦となる。全国の仲間が集中して、松本龍顧問の必勝に向けて全力をあげてとりくみをすすめよう。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)