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部落問題資料室
NEWS & 主張

大阪市・都島区長が謝罪
「同和地区には暗い印象」と

「解放新聞」(2012.12.10-2597)

 【大阪支局】「同和地区には暗い印象」-大阪市の田畑龍生・都島区長が区長公募に応募した論文で複数の地域を「同和地区」と名指しし、市がホームページ(HP)にそのまま掲載していた「同和地区」論文事件(事件の経緯、別項)の糾弾会が11月14日、東淀川区役所でおこなわれた。田畑区長は「不適切だった」と謝罪したが、経緯などで不透明な部分も多く、府連は第3者による検証委員会の設置などを求めた。

区長応募論文で糾弾会
  糾弾会には、大阪市から田畑区長、村上龍一・副市長ら、府運からは北口末広・委員長、赤井隆史・書記長らが出席した。
  問題の公募論文では、東淀川区の犯罪発生件数が近年大きく減少し、犯罪件数も他と比べて決して多いエリアではないにもかかわらず、安全面でのイメージはよくなっているとはいえないとし、その「遠因」として具体的な地名をあげて「同和地区と呼ばれる地域が三つ隣接するエリアを有しているが、これらは新大阪に隣接しているエリアであるにもかかわらず、開発が進んでいない状態であるため、未だに暗い印象を拭いきれていない」などと書かれていた。
  さらに「未利用地や築年数が30年を超える市営住宅などは、……同和地区と呼ばれるエリアに集中している」「同和地区と呼ばれる地域に付属している〝暗いイメージ″に関しては、前節でのべたエリア開発案により大幅に改善が見込める」などと記述している。
  糾弾会では、事件の経過を振り返ったのち、なぜこうした記述にいたったのかを田畑区長にただした。
  田畑区長は、東淀川区についてネガティブな情報は主にインターネットを使って調べたとしながら、みずからが東淀川区内を歩いたさいには「特に暗い印象はもたなかった」とのべた。同和地区を特定し「暗い印象」などと書いた論文記述については「不適切だった」と謝罪したが、なぜ「暗い」という記述となったのかとの問には「世間にネガティブなイメージが多くあると思ったので書いた」などと釈明。あくまで「自分は差別意識はなかった」と主張した。
  差別を助長する内容と認識しながらHPにそのまま公開した大阪市は、膨大な量の情報公開の事務の繁雑さにかまけて、時間の経過とともに失念してしまったなどとして謝罪した。

第3者の検証委を
  府連は、田畑区長に真摯な反省文の提出と部落差別撤廃のとりくみへの積極的な参加を求めた。また大阪市には、①なぜ論文に問題ありと認識しながら、応募区ではない都島区長に選ばれたのか②なぜ問題を認識しながらHPにそのまま掲載したのか、をふくめて、第3者による検証機関の設置を求めた。

【事件の経過】
  2011年12月、大阪市が将来の区長公選制を見越して24区の区長を公募。2012年1月までに1461人の応募があり、区長経験のある局長級職員がその応募論文を点検。そのさいに田畑区長の論文が差別を助長するものとの認識があったが、指摘することはなかった。
  2~3月の橋下徹・大阪市長ら5人による書類審査で118人を決定。5人とも論文を読み、田畑区長の論文が差別を助長する論文であると認識していた。3~4月の面接選考のさいにも面接官が論文に差別を助長する表現があると指摘。HPでの公開には注意が必要と指摘していた。5~6月の橋下市長をふくむ5人による最終面接で合格者を発表。田畑区長は東淀川区ではなく都島区長に選ばれた。
  7月、合格者の論文を公募区長全員に確認の上、大阪市はHPで公開。市民からの指摘があり大阪市はHPから田畑区長の論文を一時的に削除。その後、修正し、再掲載。現在にいたる。


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