「解放新聞」(2012.12.24-2599)
行政書士に名義を貸すようもちかけ
行政書士の職務上請求書を偽造しての個人情報不正取得事件のうち、東京の調査会社エス・アール・シーの0・G(79歳、清瀬市)とその妻(52歳)の初公判は11月28日、名古屋地裁でひらかれた。「戸籍法」違反や偽造有印私文書行使などの罪に問われたもの。両被告は一部否認したが、起訴内容を大筋で認めた。
検察は、冒頭陳述で「0・Gは警察官を辞めた後、探偵業を始めたが、行政書士の資格を取って平成5年(93年)から偽造した職務上請求書を使うようになった」と指摘。0・Gは、群馬県前橋市の探偵社ベル・リサーチなどからの依頼で戸籍や住民票の不正取得をくり返し、また他の探偵社に偽造した請求書を販売し、08年1~9月の間だけでも1億5000万円の不正利得を得ていた。
三重県鈴鹿市の職員が、請求書の「義務履行」が「業務履行」と間違って印刷されていることに気づき、東京都行政書士会に通報して不正が発覚しそうになったときには、0・Gは、嘘をいって鈴鹿市から請求書を取り戻し、隠蔽工作。その後、ふたたび発覚しそうになったため、2010年に行政書士の廃業届を出したが、東京都の行政書士Tに月30万円で名義を貸すようもちかけ、T名義で不正取得をくり返していた。前橋市のベル・リサーチからの不正取得依頼に応じていただけでなく、独自に興信所や探偵社から注文を受けており、今回の摘発まで20年近く不正を働いて巨額の利得を得ていた。
0・Gは「群馬ルート」とよばれる戸籍・住民票の取得グループの中心人物でもあり、自治体の本人通知制度を知ってからは、ベル・リサーチや名古屋のAJLPなど不正グループの関係者に「本人通知制度を導入している自治体からは取るな」「依頼があっても断れ」と指示していたことも判明。本人通知制度を知り、グループが警戒していたことがわかった。
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