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部落問題資料室
NEWS & 主張

にんげん羽音豊さんを偲ぶ
5人が「お別れの言葉」で

「解放新聞」(2013.05.13-2618)

 「役職は関係ない。土にかえっても運動する」
  2002年、羽音豊さんが福岡県連委員長を辞任したときの言葉だ。「多くは語りません」と演壇でしゃべりながら、みずからの生き方で多くを語ってきた羽音さんが、2月24日亡くなった。87歳だった。
  にんげん羽音豊を偲び、遺志と偉業を胸に刻み込もうと「羽音豊さんを偲ぶ会」を4月23日午後、福岡市・パピヨン24ガスホールでひらき450人が参列した。主催は福岡県連と九州地方協議会。
  偲ぶ会では「義憤の人にんげん・羽音豊」の詩の朗読をはさみ、麻生渡・前福岡県知事、小川洋・福岡県知事(代読)、中西績介・元衆議院議員、林力・元福岡県同和教育研究協議会会長、稲積謙次郎・元西日本新聞記者の5人が「お別れの言葉」を贈った。

反差別を貫いた人
羽音豊さんの遺志つぎ闘う

 「羽音豊さんを偲ぶ会」では、松本龍・福岡県連顧問(前衆議院議員)が開会のことばで「かけがいのない大きな星を失ってしまった。大きな力で育ててもらった」と感謝をのべた。主催者あいさつで組坂繁之・福岡県連委員長(中央執行委員長)は、みずからが書記長、委員長になるときに支えてもらったと思い出をのべ、それぞれの羽音さんへのイメージを、闘いの英姿を胸にとどめてほしいと語った。
  麻生渡・前福岡県知事(前全国知事会会長)は、羽音さんは「石炭鉱害闘争をともに闘った同志」といい、鉱害復旧への努力を讃えた。小川洋・福岡県知事(代読)は、県を代表して偉業を偲び、心から哀悼の誠を捧げた。中西績介・元衆議院議員(元総務庁長官)は、戦前の中学校の同級生として、衆議院議員時代、総務長官時代の思い出をのべ、「解放運動に身命を投げ打ち、完全燃焼してその生涯を閉じました。誠に見事な一生であった」と賛辞を贈った。林力・元福岡県同和教育研究協議会会長は、激動の87年を通じ平等社会、差別をなくすという一点を貫いた、と強調した。稲積謙次郎・元西日本新聞記者は、大分での不祥事問題のときに、「(不祥事の実態を)書くだけで終わらず、展望をもって書いてほしい」といわれ、その後、深く掘り下げた息の長い報道を心がけた、部落問題報道の原点の人だったと語り、みずからを元西日本新聞記者と感謝をこめて名乗った。
  元首相の村山富市さんの弔電が紹介されたあと、遺族を代表して三男の羽音卓士(たかし)さんが、参列者にお礼をのべ、死去する直前の「一生懸命生きてきたわが人生に悔いなしだ」との言葉を紹介した。
  閉会のことばで原伸一・福岡県連副委員長は、同じ田川で羽音さんに育てられた者の一人、大先輩は心から優しい、強い精神力をもった人だった、よき日のために遺志と偉業を受け継ぐ決意を新たにした、と語った。
  偲ぶ会では、最初に黙祷を、最後に一人ひとりが献花をおこなった。


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