労働法制の規制緩和を阻止し、就職差別撤廃、安定雇用の実現を
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円安と株価上昇によって、日本経済が低迷から抜け出せるかのようなムードがつくられている。マスコミ報道などで、投資家目線からの報道ばかりがなされるからだ。そして、圧倒的多数を占める労働者の生活目線からの報道が少ない、という残念な現状がある。労働者は消費者でもある。格差社会の拡大と貧困化の進行という深刻な状況を放置しておいて、経済と社会の健全な発展はない。
民主党政権下で、「ねじれ国会」により十分な改革とはならなかったが、「求職者支援制度」の創設、「労働者派遣法」と「労働契約法」の改正など労働関係法の一定の改善がなされた。
しかし安倍政権になって、これらの改革を逆行させる動きがでてきた。「解雇規制の緩和」「労働時間規制の緩和(裁量労働制の拡大)」「限定正社員と称する低賃金で解雇のしやすい雇用形態の導入」など、またぞろ労働法制の規制緩和が検討されはじめた。労働者の権利を奪い、安い賃金でこき使うことによって「産業競争力」をつけようという発想だ。
これでは不安定雇用がさらに拡大し、格差社会と貧困化はさらにすすむと考えられ、経済や社会システムも人権を抑圧するようないびつなものにしかならない。
さらに安倍政権によって、生活保護費の引き下げが打ち出されており、保護基準が多くの社会保障や諸制度の適用基準に使われていることもあり、低所得者層がさらに追いつめられることになる。
これらの動きを阻止するため、連合などと連携しながらとりくみをすすめよう。また、参議院選挙を全力でとりくみ、政治状況を変えていこう。
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雇用情勢が厳しくなると、雇用関係のルールがなし崩しにされる危険性が高まる。また、戸籍などの大量不正取得が続発している現状もある。あらためて就職差別撤廃のためのとりくみ強化が必要だ。
就職差別撤廃のとりくみの大きな柱である公正採用選考人権啓発推進員制度は、①従業員100人以上の事業所②不適正事象惹起事業所③民営派遣事業所を全国的な推進員設置基準としてきた。また、設置基準を従業員50人以上や30人以上の事業所とするなど前進させている府県は、これまで20府県にのぼった。そして、圧倒的に企業数が多い東京都では、今年4月から設置基準が50人以上に改定された。これを契機に、全国基準も50人以上に改定していく必要がある。推進員の啓発や企業内研修の充実へ、労働行政や自治体のとりくみを促していかなければならない。
高校、大学などとの連携も大切だ。「統一応募用紙」と「就職受験結果報告書」のとりくみ、さらに学生・生徒への啓発を強化する必要がある。
また、部落解放中央共闘会議は連合と連携して、6月を「就職差別撤廃月間」と位置づけ、各労働組合へ就職差別撤廃の趣旨を徹底させるための啓発資料を配布し、労使交渉の場などを通じて、企業への働きかけと点検活動をよぴかけている。これらのとりくみと連携して、就職差別撤廃のとりくみを拡大していこう。
そして、地域での職業相談活動の充実も求められている。隣保館活動との連携、自治体やハローワークとの連携を強め、相談活動にとりくむ必要がある。
格差と貧困の拡大にストップをかけ、就職差別撤廃、安定した雇用促進のとりくみをすすめよう。
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