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部落問題資料室
NEWS & 主張

施行反対の声をあげよう
共通番号制に抗議

「解放新聞」(2013.06.17-2623)

市民の生活を監視把握し自由を拘束
  社会保障や税などの情報を一元管理するために、国民1人ひとりに番号を割り振る「マイナンバー法」が5月24日の参議院本会議で成立した。自民党・公明党・民主党などの賛成多数で可決され、政府は2015年秋ごろから各個人に番号を通知し、16年1月から利用を開始するとしている。
  申請した個人には番号や氏名、住所、顔写真などを記載したICカードを交付するもの。行政サービスをうける申請手続きが簡単になる利点が強調されているが、個人情報を、国や企業が勝手に利用することへの歯止めがなく、市民の生活を監視把握して自由を拘束するもの。社会的弱者切り捨てや格差・差別を助長させることへの懸念から反対のとりくみがされてきた。
  5月9日の衆議院通過のさいには、東京弁護士会、日本出版社協議会、住基ネットに反対する各地の団体個人から批判声明がだされ、参議院での慎重審議を求めていた。
  この状況をうけ、「共通番号制の成立に抗議する院内集会」が5月28日、参議院会館でひらかれ、30人が参加。日弁連や日本出版社協議会、各地で「国家のプライバシー管理強化」に反対する団体ほか、主催者を代表して白石孝・プライバシーアクション代表も「国会審議は低レベルの論議だった。国による国民管理が強まる。第2ステージの闘いを」とあいさつした。

徹底的に問題点をあぶり出そう
  田島泰彦・上智大学教授は「お上の意のままに情報が一元化される。電話の盗聴も拡大利用され実施されようとしている。民主党政権下ではコンピュータ監視法ができた。通信履歴の保存要請が義務化されようとしている。憲法改悪と連動し情報を管理しようとしている。徹底的に問題点をあぶり出す必要がある」と。
  そのほか、各地でとりくむ団体や弁護士などが発言。福島瑞穂・社民党党首は「広く真実を知らせるとりくみが必要。いろいろな機関がこの情報をつかうことに強い懸念がある。3年後の見直しは拡充方向。そのときに医療情報もいれる可能性が強い。施行反対の声をあげよう」と訴えた。
  集会では、「行政機関が各個人の所得水準や年金、雇用保険、医療保険の受給実態をより正確に把握し、公平で効率的な社会保障給付を実現するのが目的」というが、不公平税制が是正されないかぎり「マイナンバー法」で期待できないのは自明。政府は、施行3年後をめどに利用範囲拡大を検討するという。個人情報漏えいや、番号の不正取得による情報の悪用防止が課題。すでに同種の制度を導入しているアメリカや韓国ではなりすまLや詐欺などの深刻な事件があとをたたないことが報告された。


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