厳しい参議院選挙を乗り越え、人権と平和の確立、いのちと生活を守る闘いをすすめよう
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7月21日に投開票された参議院選挙は、自民党が65議席で圧勝し、与党の公明党もふくめて過半数獲得という結果に終わった。一方、民主党は改選議席の44から17議席に大きく後退した。
この参議院選挙も、安倍政権が前面に打ち出した景気回復策への「期待感」が、昨年末の衆議院選挙に続いて自民党の勝利をもたらし、衆参ともに、与党で過半数を制することになった。しかし、「アベノミクス」は演出された実体経済の拡大がともなわないもので、物価は上昇するものの、賃金はあがらず、生活を圧迫している。このままでは、ますます格差拡大社会がすすむことになるのは確実だ。
しかも、安倍政権の狙いは、憲法改悪である。「自民党憲法改正草案」は、天皇の元首化や「国防軍」の創設など、「戦争ができる国」づくりのために、平和主義、人権主義、民主主義という憲法の根幹を破棄しようとしている。かつての侵略戦争の反省もなく、時代錯誤の言動を繰り返す安倍政権では、ますます世界、とくにアジアのなかで信頼を失っていくだろう。
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今回の参議院選挙では、われわれは、選挙区・比例区ともに、推薦候補と政策協定を結んだ。とくに比例区では、政党名ではなく、候補者名で投票することを基本に選挙闘争にとりくんできた。
政策協定では、憲法改悪に反対し、人権と平和を守ることをはじめ、部落解放・人権行政の推進に向けて、人権侵害救済制度の確立など、当面の重要課題について取りあげてきた。
しかし、今回の選挙結果は、ひじょうに厳しいものであった。安倍政権が景気回復策を前面に打ち出したものの、憲法改悪、原発推進のエネルギー政策、消費税増税やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加、沖縄をはじめとした米軍基地問題、非正規労働者増大など、これからのわれわれの生活に大きく影響する重要な政治課題、争点も多くあったが、投票率の低さにもあらわれているように、政治への無関心さも深刻な問題である。
われわれは、人権・平和・環境を軸にした政治の実現に向けて、こうした課題に真剣に向き合いながら、闘いをすすめていかなければならない。われわれが政治に求めるものを明確にし、部落解放運動を前進させるための政治課題を実現していくために、しっかりと論議していこう。
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当面の重要課題は、憲法改悪阻止の闘いだ。平和主義の根幹である9条改悪に断固反対しよう。安倍首相は、選挙終盤で「9条を変える」と明言した。今回の選挙では、憲法改悪に賛成する日本維新の会、みんなの党などを合わせても、3分の2の議席は獲得できなかった。自民党がめざす「国防軍」の創設や集団的自衛権の行使を許してはならない。
また、憲法にある基本的人権の尊重でも、その具体化に向けてとりくみを強化しよう。在日コリアンへのヘイトスピーチ、インターネット上での差別書き込みなど、深刻な差別の現実にたいする救済制度がないままに放置されている。人権の法制度確立に向けて、あらためてとりくみを強化しなければならない。そのためにも、国際人権諸条約で留保している多くの条項について撤回を求めていくことも必要である。
今後、安倍政権は、生活保護費や社会保障費の削減、消費税増税、原発政策推進など、弱者切り捨ての政策を強行する。いのちと生活を守る闘いをすすめてきた部落解放運動の役割はますます重要だ。
厳しい情勢に抗して、部落解放・人権政策確立の闘いを全力ですすめよう。
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