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部落問題資料室
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狭山の真相を訴え、世論を力強く巻きおこし、団結を固め、勝利へ突きすすもう

「解放新聞」(2013.08.26-2632)

 狭山事件第3次再審請求の第14回3者協議が7月26日ひらかれ、東京高裁第4刑事部の河合健司・裁判長と担当裁判官、東京高等検察庁の担当検察官、弁護団からは、中山主任弁護人、中北事務局長をはじめ11人の弁護人が出席した。
  協議の論点のひとつは、欠番の証拠物の開示であった。この間開示された証拠物を番号にしたがって整理したところ番号飛びが多数あり、これら欠番の証拠物、とくに存在が明らかになった筆跡資料の開示を弁護団は求めた。これにたいして、検察官はこれらの筆跡資料は開示の必要性がなく、プライバシーにかかわるので開示しないとする意見書を提出していた。
  しかし、狭山事件は事件発生から50年も経過しておりプライバシー侵害の可能性は考えにくい。これらの筆跡資料は当時の捜査で集められ、2審になって東京高検の検察官が番号を付けて領置した証拠物であり、関連性のないものとは考えられない。狭山事件で石川さんを有罪とした確定判決が証拠の主軸にあげたのが筆跡の一致であり、再審請求の重要な争点である。
  弁護団は反論の意見書を提出し、今回の3者協議で、東京高裁の河合裁判長は、証拠物は客観証拠であり、開示の方向で再検討するよう促した。検察官は裁判所の勧告にしたがって、筆跡資料をはじめ、未開示の証拠物をすみやかに開示すべきである。また、標目(リスト)を提示して証拠物の内容を弁護団に明らかにすべきである。

 今回の3者協議では、犯行に使われた手拭いの捜査資料や犯人しか知らない秘密の暴露にあたるとされた車の駐車に関する捜査資料の開示も問題となった。これも、この間の3者協議で、関連する供述調書や捜査報告書が開示され、有罪判決に疑問が生じているので、弁護団がさらに証拠開示を求めたものだ。
  しかし、検察官は、弁護団が求めた手拭い捜査にかかわる証拠についても開示の必要性がない、あるいは不見当(見当たらない)として応じなかった。
  また、自白内容と一致するとされた被害者宅周辺での車の駐車に関する捜査書類などについては、弁護団が求めた証拠をすべて不見当と検察官は回答した。
  被害者を縛った手拭いは市内の米屋が年賀用に配った165本のうちの1本であるが、石川さんの家からは配付された1本が提出されている。素直に考えればこれで石川さんは犯行と結びつかないことになるはずだが、検察官は警察に提出した1本は義兄か隣家から都合をつけたものと主張し、その主張のまま有罪判決の根拠とされた。そもそも有罪判決の認定じたいに無理があったといえるが、この間の開示証拠によって、この認定に疑問が生じてきているので、関連する当時の捜査資料をすべて開示して真実を究明する必要があるとして弁護団は証拠開示を求めているのだ。
  そもそも、再審請求にとって関連性や必要性があるかどうかは弁護団や裁判所が判断することであって、検察官が一方的にいうべきことではないはずだ。検察官だけがすべての証拠を見て出す出さないを決める権限をもっている一万で、弁護団には証拠の内容さえわからないという現在の制度じたいが公平ではないというべきだろう。証拠は検察官の独占物ではないはずだ。
  東京高裁の河合裁判長は弁護側の証拠開示請求について柔軟に対応するよう検察官に促しているが、検察官は十分に応じようとしていないといわざるをえない。公平で公正な裁判を保障するために、徹底した証拠開示を求める大きな世論を作る必要がある。

 石川さんの自白にもとづいて発見されたとして有罪証拠とされた腕時計について、弁護団は、被害者が使うはずのないバンドの剣先(先端)から5番目の穴が使用されていることを指摘した時計修理士による報告書等を新証拠として東京高裁に提出し、被害者のものではないと主張した。これにたいして、検察官は、5月27日付けで、科学警察研究所(科警研)の技官による鑑定書を提出し、剣先から5番目のバンド穴は使用されていないと主張した。弁護団は、検察官の意見にたいして、時計修理士ら専門家の意見も求めながら検討をすすめ、再度反論の意見書を提出することを今回の3者協議で裁判所に伝えた。裁判所は鑑定人尋問を実施すべきだ。
  次回の3者協議は10月下旬におこなわれる。石川一雄さんは9月から裁判所前でのアピール行動をおこない、証拠開示と事実調べ、再審無罪を訴える。フェイスブックやホームページで狭山事件が発信され、市民への広がりがつくられてきている。また、この間、全国各地で狭山事件50年の集会やパネル展がおこなわれている。ショッピングモールや図書館など多くの市民が集まるスペースでパネルを展示し、チラシ配布や署名、要請ハガキのよびかけがおこなわれている。全国各地でパネル展の実施や創意工夫をこらしたとりくみをすすめ「狭山事件50年! いまこそ狭山事件の再審を!」という世論を大きくしていこう。東京高裁、東京高検に要請ハガキを送ろう。


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