各地の実践・現状をもちより、第47回全研で活発な論議を重ねよう
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「今日の部落差別の現実を明らかにし、格差拡大社会のなかで深まる差別と貧困、社会的排除の克服にむけた実践交流と研究活動をおしすすめよう」を合言葉に、11月6~8日の3日間、香川県高松市で、「部落解放研究第47回全国集会」がひらかれる。
初日の11月6日には、「マスコミと人権」というテーマでジャーナリストの大谷昭宏さん、3日目の8日には「「障害者差別解消法」制定の意義と今後の課題」というテーマで神奈川大学の山崎公士さん、「今日の日本社会を考える」(仮)というテーマで北海道大学の中島岳志さん、それぞれの記念講演が予定されている。また2日目の7日には、7つの分科会と国立療養所大島青松園でのフィールドワークにより、具体的な実践報告と討議がなされる。
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今日の日本社会をみたとき、アべノミクスによる経済回復にくわえて2020年のオリンピックの東京開催決定により閉塞感はなくなりつつあるとされ、さらに「障害者差別解消法」は人権侵害救済法や、差別撤廃の法制度の確立に大きな影響を与えたものとして評価されている。しかしながら、8月からの生活保護費の引下げ、介護保険制度の見直しはますます高齢者の生活を圧迫する方向に向かっており、さらに次世代を担う若者の情況は「孤立無業」、すなわち他者とつながりのもてない若者が増加しており、「就活の失敗」を苦に自殺する若者が増加傾向にあるという報道もされている。子どもをとりまく情況として、学校でのいじめと排除の実態を象徴する「スクール・カースト」なる用語がいわれ、さらに安倍政権による憲法改悪の動きや「特定秘密保護法案」など国権主義への加速化のなか、ヘイトクライム、ヘイトスピーチが大きな社会問題となってきているなど、貧困や格差拡大、人権については、むしろ悪化の方向が懸念される情況にあるといえる。
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こういった情況は部落や部落をとりまく情況でも同様に深刻である。
戸籍等個人情報大量不正取得事件にたいするとりくみで明らかになったことは、「(戸籍や住民票などの)公簿がないと調査業は成り立たない。探偵業者はみんなやっている」という差別につながるおそれのある身元調査の現実であり、「週刊朝日」差別記事事件で明らかになったことは、被差別部落への偏見と差別を煽る内容の差別や人権侵害が今日なお存在しているという事実である。
部落解放運動はまさにこうした社会の閉塞感にたいして、これまでの経験と実践をもとに、すべての人の人権が守られる、包摂性の高い社会をめざす牽引者たることが求められている。
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部落差別だけでなくあらゆる差別の撤廃と人権が確立された社会の実現を目標に私たちは日日の活動をおしすすめている。この崇高な目標を達成するため、今日の社会に生起している部落問題や人権にかかわった諸問題について、当事者性を重視しながら学習し、課題解決の方策を創造し、実践していかなければならない。
各地の具体的な人権侵害の事例、各地の具体的な地道で創意・工夫ある実践報告に学び、それぞれの地域や組織・団体が抱えている課題解決のヒントや活動推進の糧となる活力を得るため、部落解放研究全国集会に集おう。11月、香川県へ、全研へ。
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