子どもたちの未来を保障するために、人権・同和教育のいっそうの広がりを
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第65回全国人権・同和教育研究大会が、11月23、24日にかけて徳島市・アスティとくしまを主会場にひらかれる。今年の第65回大会は、主催する全国人権教声研究協議会(全人教)の前身である全国同和教育研究協議会が、1953年に結成されてから60周年記念の節目の開催となる。
部落の子どもたちの「長欠・不就学」問題の解決にはじまった同和教育は、「差別の現実に深く学ぶ」ことを基底に据えながら、目の前の子どもたちの現実と、その背景にある課題の解決をはかるために、差別や人権侵害の歴史や差別の実態をふ夢見た教育内容の創造に向けて教育条件の整備を推進するとともに、全国各地で豊かな実践を積み重ね、今日の人権教育の地平を切り拓いてきた。
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2000年に制定された「人権教育・啓発推進法」と「基本計画」や、「教育振興基本計画」の策定などによって、人権教育は法的に裏付けられた教育課題の一つとして、全国的に展開されるところとなっている。
しかしながら、昨年、文部科学省が4年ぶりに実施した「人権教育の推進に関する取組状況の調査」結果によると、いぜんとして5県、市町村では過半数の自治体で、人権教育の推進に関する方針や計画が未策定の状況にあることや、中学校・′高校でのとりくみが後退しているとの結果があらわれている。
こうした結果が出てきた理由や背景については、今後の調査や議論を待つことになるが、人権教育へのそもそもの理解不足がその原因との指摘もある。具体的には、人権教育の意義と役割が教育委員会や学校関係者に周知徹底されていないことや、教科学習や生徒指導と人権教育の関係性の整理や、教育活動全体をとおしての人権教育の位置づけなど、人権教育についての認識や推進に向けた動機づけが十分におこなわれていないということだ。
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昨今、いじめ、体罰、虐待など、子どもの人権を侵害する深刻な事態が各地で頻発している。さきの文科省の調査結果報告書でも、人権教育の重要な役割と可能性について言及したうえで、人権にかかわる諸課題の根源的な解決のためには、人権教育の推進が必要不可欠であると指摘している。
つまり、子どもたちの人権を保障し、尊厳を守るためには、即時解決をめざす対症療法的な対策だけでなく、最終的に拠るところは、反差別・人権を基調とした学校運営や教育実践など、日日の人権・同和教育の積み重ねだ、ということだ。
いまこそ、人権・同和教育の豊かな教育内容と実践の成果を、全国各地に発信し、人権・同和教育の輪を広げていくことが求められている。
また、政権交代のあおりをうけて、「教科書」や「学力テスト」などをめぐって、教育現場にはさまざまな混乱と難題がもち込まれようとしている。私たちは、学びの主体は子どもたちであることを肝に銘じ、こうした動きを断固阻止する闘いもすすめていかなければならない。
子どもたちの未来を保障するために、人権・同和教育の発展と推進に粉骨砕身の努力を続けてきた先人の想いを引き継ぎ、各地で人権・同和教育のいっそうの広がりをかちとろう。
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