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部落問題資料室
NEWS & 主張

富山、石川県と交渉

「解放新聞」(2013.11.25-2644)
 北陸での人権施策の充実を求めて、11月11日に富山県交渉、12日に石川県交渉を展開した。行動したのは西島財務委員長、池田、安田の両中執、山下敬太郎・福井県連委員長(中央委員)、北陸事務所など8人。


意識調査をもとに
  【富山】県交渉は富山市内の県民会館会議室でおこない、県からは漆畑有浩生活環境文化部次長など19人が出席した。交渉では2013年度の予算説明のあと、「人権教育・啓発推進法」の具体化として、県民意識調査と市町村での基本計画の策定、高校奨学金の充実、戸籍などの不正取得問題などで意見交換をおこなった。
  意識調査で県は、予算措置ができ、人権教育・啓発の基礎資料をえるために実施し、年度内には結果をとりまとめられるようすすめる予定であり、設問項目などについては近いうちに素案を示し意見交換したいと報告。部落解放同盟からは、10年前の前回調査で、「同和問題への関心」が7.2%にとどまっているのは、部落問題へのとりくみの弱さの反映であることを指摘し、調査の目的を明確にするよう重ねて求めた。
  市町村の施策の策定状況では、末策定は6市町村だが、10月9日の行政連絡協議会で、総合計画改定時には人権施策を明記するよう県から要請し、6市町村もつぎの改定時にいれたい、との意向であることが示された。これにたいし「人権教育・啓発推進法」制定いらい、すでに13年を経ているという認識をもったとりくみを求めた。
  奨学金では、5年前に募集要項から「優れた生徒」を削除したとの回答があったが、本年度の要項には復活していることをただしたところ「たんなるミス」と回答、ここ数年は経済的理由以外に不採用となった生徒はいない、とくり返した。県の奨学金は、成績条項のある「A区分」と成績条項のない「B区分」があり内容が同一であるにもかかわらず「A区分」を残している理由をただした。県は生徒が応募するときはAもBもなく一本であり、県がAとBに仕分けしていることを明らかにしたが、A区分を残していることの理由は示せず、A区分については「考えていきたい」の回答にとどまったため、重ねて廃止するよう求めた。
  戸籍などの不正取得について県は、遺憾であり、県内でも被害にあっており、けっして対岸の火事ではないことを各自治体に周知している、としたものの、不正取得されたことが確認されている190件のうち、ただの1件も本人通知せず被害者を「ほったらかし」にしていることも明らかになった。
  また事前登録型本人通知制度を採用している自治体もゼロであり、身元調査など、不正取得のなにが問題なのかを認識して対応することが必要で、職員への研修をはじめ、啓発活動にもとりくむよう要請した。

研修内容の問題指摘
  【石川】県交渉は県庁内会議室でおこない、県からは小森卓郎・総務部長など20人が出席した。交渉では県民意識調査と市町村での行動計画策定、県人権推進室のスタッフが講師をつとめた民生児童委員への人権・同和問題研修内容の検証問題、戸籍などの不正取得問題で意見交換した。
  意識調査で県は、今年度内に報告書をまとめ、人権教育啓発の行動計画を見直したい。設問も関係団体の意見を求めることを報告。解放同盟からは基礎資料とするためにも「分析」をと求め、県も分析はいれる必要があると回答した。
  前回調査で「同和問題を解決するための対策を適正にすすめるうえで何が重要であると思いますか」という設問への回答の選択肢のなかに「同和地区以外の人がねたみ意識や不公平感をもつことのないよう、同和地区の生活環境の改善・整備は、周辺地域との一体性や公平性を確保すること」があり、39%で一番多かった。しかし石川では、すべてが未指定地区で環境改善・整備はいっさいおこなわれていなかったことを指摘。県も「ないです」と明言したため、県の実態に凝った調査にするよう求めた。県も、石川にあてはまらないものは無意味であり、十分に内容をチェックし、設問意図も示したうえで素案を示すことを約束した。
  行動計画の策定で県は、法ができて13年たつが、行動計画のない市町が多いことを認めるものの「担当課長会議で説明はしている」というばかり。解放同盟からは、市長会、町長会とも連携したとりくみで、計画策定の促進を求めた。
  研修内容の検証では、人権推進室で録音テープを聞き、内容を確認したことが報告された。その中身は、全国水平社にふれたさいに、創立大会決議の「徹底的糾弾ヲ爲ス」のみをとりあげていたことが判明。県は、受講者からすれば「糾弾」が強調されたかもしれない。反省すべき点はある。不十分で一部のみをとらえているとはいうものの「問題あり」とまでは…との認識にとどまった。このため、なぜ決議の一部の糾弾だけをとりあげたのかを県として整理し分析するよう要請。県ももう一度整理し、問題をぎん味し、しっかりした形で伝えることを確認した。
  戸籍などの不正取得について県は、ひじょうに問題とはいいつつも、本人通知については県内の戸籍住民基本台帳事務協議会での説明にとどまっており、不正取得の背景には身元調査を必要とする社会があるということで、人権侵害という事件の中身を市町にきちんと説明し、早急に本人通知にとりくむよう要請した。


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