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憲法改悪をめざす安倍政権がいよいよその権力の本性をあらわにしてきたのが、6日の「秘密保護法」の強行採決だった。「国家安全保障会議(日本版NSC)」を設置し、外交や安全保障に関する事項を、米国のいいなりに決定していくために、なんとしても必要だったのが「秘密保護法」だった。
米国との同盟強化のためにも、日本版NSCが米国から外交や安全保障、軍事に関する情報の提供をうけるために、国内外で盛りあがった大きな反対の世論を敵視して、「秘密保護法」を成立させた。まさに民主主義の破壊であり、国権主義、反人権主義のきわみである。「秘密保護法」では、特定秘密を扱いそうな公務員や企業関係者にたいする「適性評価」をおこなうことになっている。
本人はもとより、家族、親族、同居人の犯罪や懲戒歴をはじめ、住所、国籍などの身元調査を公然と容認している。また、配偶者の「過去の国籍」も調査項目にあげられている。まさに「人種差別撤廃条約」違反であり、今日大きな社会問題になっている興信所・探偵社などによる差別身元調査を国が公然とおこなうのである。安倍政権のもとで強引に成立した「秘密保護法」は、差別容認の法である。市民を監視し、弾圧する「秘密保護法」の廃案に向けて、さらに協働した闘いをすすめよう。
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こうした安倍政権のもとで、部落差別撤廃、人権と平和、民主主義の確立に向けた闘いをとりまく厳しい情勢が続いている。3年半の民主党中心の政権では、不十分な内容ではあったが、「人権委員会設置法案」が成立目前で、昨年12月の解散-総選挙によって廃案となった。総選挙で民主党が大敗、安倍第2次内閣が発足し、今年7月の参議院選挙では「ねじれ」が解消して、巨大与党のもとでの安倍政権が狙うのが憲法改悪である。
当時、「人権委員会設置法案」の反対の急先鋒であったおもな国会議員が安倍政権で閣僚となっている。こうした厳しい政治情勢のもとで、部落解放・人権政策確立のとりくみを再構築していくことが求められている。安倍政権の反人権主義の言動を背景に、差別排外主義による、在日コリアンや部落民など社会的マイノリティへのヘイトスピーチが大きな社会問題になっている。しかし、そこで公然と差別を煽動し、あたかも楽しむように集まってくる若者たちもまた、格差社会の犠牲者でもあるのだ。そして生活保護費の削減をはじめとした社会保障制度の改悪も、社会的マイノリティを排除-忌避する差別意識に支えられている。
今日、わが同盟がとりくんできた「週刊朝日」差別記事事件や戸籍等大量不正取得事件、土地調査差別事件でも、共通するのは、被差別部落(民)を特定するための差別身元調査である。現実の市民社会のなかで、いまだに存在する部落(民)を社会的に排除-忌避する差別意識が根底にあり、差別身元調査が必要とされているのだ。仏教系寺院による過去帳開示問題も、そうした現実の差別問題と深くつながっている。
われわれは、こうした差別の現実を広く訴え、「人権侵害救済法」をはじめとした人権の法制度確立に向けたとりくみを強化していかなければならない。
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狭山再審闘争では、事件発生から50年、半世紀をむかえた今年、大きな節目として、パネル展や映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映運動にとりくんできた。また、事件発生と同じ日の5月1日におこなわれた狭山現地での集会なども、マスコミに大きく取りあげられ、その後も、映画の完成をはじめ、狭山事件を取りあげた報道で、石川一雄さんの50年にわたる闘いが紹介されるなど、石川無実の世論を拡げてきた。
さらに、この間、弁護団は、3者協議で開示された証拠をもとに16点の新証拠を提出している。とくに10月17日に手拭いに関する新証拠を提出した。被害者の遺体を後ろ手に縛っていた手拭いは、石川さんの家にもあったが、これは警察に提出されている。しかし、検察官は、TBSテレビが手拭いについて報道したので、都合をつけて別の手拭いを警察に提出したと証言し、東京高裁も判決で手拭いの入手可能性を有罪証拠の一つとしていた。今回証拠開示された捜査報告書には、事件直後の5月6日の午後0時20分に警察が石川さん宅で手拭いを確認したとある。当時のTBSテレビのニュースは、5月6日午後0時2分過ぎから50秒程度であったことから、17分間に手拭いの都合をつけたとは考えられない。
石川さんの無実は明らかである。逮捕直後の上申書も、証拠開示によって提出され、ますます石川さんの無実が明白になっている。検察官は、弁護団が求める証拠開示に応じるべきである。われわれも、証拠開示と事実調べを求め、署名活動、ハガキ要請行動を中心にとりくんできた。石川さんも3者協議に向けたアピール行動で、高裁前で無実を訴えている。
このように、厳しい情勢のなかで、それぞれの闘いの課題でとりくみがすすめられてきた。さらに、支部や都府県運での組織や運動の強化、拡大の論議もすすめていかなければならない。
今年の闘いをしっかりと総括し、厳しい情勢に抗した部落解放運動の前進をかちとろう。
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