「部落の血筋で難病」と
チラシに掲示許可出す
大阪芸大で差別事件
5日間もそのまま
糾弾会には、同大学の人権教育推進委員会の委員長をはじめ学生部、教務部などの担当者が出席。府運からは田村賢一・副委員長、赤井隆史・書記長らが出席した。
問題のチラシは、「蒲田行進曲 完結編 銀ちゃんが逝く」の公演を告知するもので、公演のあらすじを招介する文章として「銀四郎は被差別部落の出身で、ルリ子の難病はその体に流れる銀四郎の血筋によって発病したものだった」などと書かれていた。
大学の学生が学内掲示板でチラシを見て教授に連絡、教授から学生課へ連絡し、問題が発覚した。チラシシは、学内の2か所の掲示板に5日間掲示されていたが、その間、だれからも問題の指摘はなかった。
同大学では、学内の掲示板に掲示する場合、学生課の許可が必要だが、学生課は原作者が著名な劇作家・つかこうへいさんということでチラシの中身を確認することなく、許可印を押し掲示を認めていた。
回収は半分程度
学生課は問題発覚後、チラシを作成した学生に差別文章であることを指摘。その学生は当初は「表現の自由」を主張していたが「部落にたいする偏見を助長し、差別を広めることになる」との説明をうけて理解し、700部のチラシの回収にあたった。しかし大半がまかれたあとで、回収できたのは半分程度だった。
書かれていた差別表現は、チラシを作成した学生がインターネットで同名の公演を検索し、1997年上演のさいの「批評とあら
すじ」を見つけ、そのまま引用したもの。
この作品は「蒲田行進曲」の続編として1987年に発表。つか作品は公演のたびに脚本が書きかえられており、「被差別部落」については1994年の公演時から加えられていた。今回、上演予定だった脚本は、もともとの脚本で「被差別部落」についての表現がないものだった。
同和教育の後退が
糾弾会では、過去の差別事件への反省からとりくまれていた大学の同和教育、人権教育が20年前から縮小・形骸化していた実能葛明らかになった。
大学を運営する塚本学院は大阪同和・人権問題企業連絡会に加盟。過去に学内で起きた差別事件への反省から「同和教育基本方針」を作成し、方針にもとづいて同和・人権問題を必須科目とし全学生にたいして学ぶ機会を提供してきた。しかし1994年からあとは、教養課程以外の学生は選択科目となり、事実上、芸術課程の学生は同和・人権問題を学ぶ機会がなくなっていた。問題のチラシを作成した学生も4年間在籍していたが同和・人権問題を学ぶ機会は一度もなかった。
府連からは、すべての学生が最低1年に一度は人権問題を学ぶ機会を提供するよう要請した。
◇
また府連は、原作者のつかこうへいさんが故人であることから、つかこうへい事務所にこの事件の再発防止について申し入れをおこなっている。
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)