被差別マイノリティの人権保障の闘いに連帯し、国際人権基準を機能させよう
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1990年に部落解放同盟が世界の水平運動をめざして結成したIMADR・JC(反差別国際運動日本委員会)が4月24日に第25回理事会を東京でひらいた。2013年度活動報告と2014年度の活動方針を確認し、部落差別やカースト差別の撤廃、人身売買・搾取的移住の廃絶、先住民族やマイノリティの権利確立、司法の人種差別(部落差別もふくむ)撤廃、国際基準にもとづく人権保障など幅広い活動領域を網羅している。また活動の原則を草の根レベルの被差別当事者と活動にとりくむNGOとの連携、草の根・国内・国際の連携を形成することとしている。アジアの被差別マイノリティの厳しい生活の現場での課題解決のために、国内に国際人権基準を機能させること、そして国連の国際人権基準に反映させることを目的としている。
反差別国際運動は、国際人権規約や人種差別撤廃条約批准を要求し、国連を中心にとりくまれている国際人権の流れを国内に機能させる重要な役割を担ってきた。設立当時は「国内問題が解決しないのに国際人権にとりくむのは疑問」の声もあった。しかしその後の経過をみていくと、政府に国際人権現約・人種差別撤廃条約・女性差別撤廃条約・子どもの権利条約、そして最近では障害者権利条約の批准を実現させた。国際人権基準が国内法として機能する状況が生まれてきている。また、人権教育や人権行政の内容に国際人権の考えを取り入れるようになってきた。国際人権諸条約の履行状況を監視する人権委員会設置法案を民主党政権のもとで、閣議決定するまでになったが、衆議院解散で廃案となった。
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差別排外的なヘイトスピーチをくり返す団体に京都地裁が人種差別撤廃条約の違反であると明確にのべ、賠償を認めたように、裁判でも条約が活用されるようになった。婚外子差別の民法規定は憲法違反とした最高裁判所判決では、国際人権機関の勧告に言及した。「ヘイトスピーチは表現の自由」「条約委員会の勧告に法的拘束力はない、遵守義務はない」という政府の姿勢はあるが、国際人権の流れは確実に国内の人権状況を変えようとしている。3
人種主義・人種差別・植民地主義の克服、被差別部落出身者、アイヌ民族、沖縄の人びと、在日コリアンなど日本の旧植民地出身者とその子孫、移住労働者・外国人をふくむマイノリティ当事者間、マイノリティとそれ以外の人びとの間の相互理解と連帯を形成する人種差別撤廃NGOネットワークの活動を強化していく。国連が作成した「『職業と世系に基づく差別』の効果的撤廃に関する原則と指針案」(2007年)が実践的に活用されるように、インド、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、日本のNGOと連携し、国際指標づくりの共同作業を推進することをとおしてアジアの被差別マイノリティとの連帯を創りだす。「解放新聞」購読の申し込み先
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