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部落問題資料室
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主張

 

差別事件や人権侵害の実態を広く訴え、人権侵害救済制度の早期実現に向けてとりくみすすめよう

「解放新聞」(2014.06.09-2670)

 部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会を5月22日に開催した。12年12月の衆議院総選挙で自民党・公明党連立の安倍第2次政権が発足してから初めての集会となった。集会の基調提案では、これまでのとりくみの総括と闘いの到達点、反省点をふまえ、今後のとりくみ方向を明らかにし、あらためて人権侵害救済制度の早期確立に向けた闘いの再構築をよびかけた。
  この間のとりくみでは、民主党政権のもとで人権侵害救済制度を実現するという基本方針を確認し、「人権委員会設置法案」の実現に向けた活動をすすめるなかで、法案の国会提出という閣議決定までこぎつけたことを闘いの到達点としながらも、衆議院解散によって廃案になったことを厳しく総括した。
  とくに、「人権委員会設置法案」が中央実行委員会がめざしてきたパリ原則にもとづいた国内人権機関の創設という内容からすれば多くの不十分点があるとしながらも、人権政策確立のための第一歩として法案成立をめざして全力でとりくんできたものの、最終盤で、内閣や民主党内の一部反対派への対応に終始せざるをえず、本来の政治課題としての人権政策確立に向けた政治責任、政府責任、国際的責務を突きつけ、反対派を凌駕する運動の効果的な盛りあがりを創り出すことができなかった弱さを率直に反省点として明確にした。

 安倍政権は、「人権委員会設置法案」反対を打ち出すなかで、人権問題を拉致事件などと関連づけながら、民族排外主義と結びつけて法案への攻撃を強めてきた。また、経済再生戦略としての「アベノミクス」は、新自由主義経済政策そのものであり、格差拡大社会のなかで深刻化する差別や貧困問題の解決、人権政策の確立よりも経済成長を優先させる反人権主義の政治がおしすすめられている。
  こうした政治情況を背景にして、悪辣なスローガンを公然と掲げたヘイトスピーチをはじめ、サッカー・Jリーグ試合での「JAPANESE ONLY」(日本人以外お断り)の差別横断幕や徳島県内での「「大切な遍路道」を朝鮮人の手から 守りましょう」と書かれた貼り紙、埼玉県内では私立専門学校が生徒募集要項に「外国人の入学は出来ません」と記載するなど、さまざまな差別や人権侵害事件が多発している。まさに現在の政治情況が、こうした差別言動を支える社会意識を生み出しているといえる。さらに『週刊朝日』差別記事事件のように、部落をマイナスイメージで固定化し、売り上げ増と個人攻撃のために部落差別を利用するという悪質な差別事件もおきている。

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  このように厳しい情勢であることはいうまでもない。しかし、巨大与党である自民党の国会議員数の問題ではなく、人権政策の確立を政治の基本にしていく課題として、しっかりと一人ひとりの国会議員に訴えていくことが重要である。これまでも、同和対策審議会答申以降の運動、「部落解放基本法」制定要求国民運動のとりくみでも、政治的には圧倒的な自民党政権のもとでの闘いであった。
 そうした困難な条件のなかでも、特別措置法の制定、法の延長問題にかかわって一定の成果をあげてきたのである。こうした運動の成果は、中央での集中した国会闘争と地域での粘り強い闘いを結合させ、中央―地域が一体となったとりくみが原動力となったのである。
  2014年度の第1次中央集会を契機にした今後の闘いの大きな課題は、あらためて人権侵害救済制度の実現に向けた政府責任、政治責任、国際的責務を軸にしながら、超党派の政治勢力の結集をはかることである。人権や平和の課題にとりくむ国会議員-自治体との連携を深め、全国的な政治勢力の形成をはかろう。
  都府県実行委員会段階では、地域での差別事件や人権侵害の実態を訴える集会やシンポジウムを開催し、地元国会議員や自治体議員へ参加をよびかけるなど、幅広い活動をすすめよう。さらに、人権侵害救済制度の確立に向けて、今後とも効果的な中央行動などを、中央-地域の闘いとして一体的にとりくむとともに、それぞれの課題の共有化をはかっていくことも重要である。
  人権政策確立に向けた各界各層の力を実行委員会の運動に結集し、全国的な闘いの再構築をはかり、あらためて部落解放・人権政策確立運動を強力に推進しよう。

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