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部落問題資料室
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第18回3者協議をふまえて、事実調べ・証拠開示の世論を巻きおこそう

「解放新聞」(2014.07.14-2674)

 2014年6月13日、東京高裁で第18回3者協議がひらかれ、焦点の一つになっている未開示の筆跡資料の開示について、裁判所が検察官から提出された資料を検討した上でプライバシーに触れないものを弁護団に開示することになった。この結果、早ければ次回の3者協議までに筆跡に関連した証拠や資料が開示される見通しがでてきた。長年にわたって証拠開示を求めてきた弁護団の粘り強い闘いがひとつの実を結び、狭山再審は確実に一歩前にすすんだ。
  証拠開示について、検察はこれまでかたくなに開示を拒んでいたが、弁護団のたび重なる要請に応えるかたちで、検察がいったん裁判所に提出し、裁判所がプライバシーの有無について検討したうえで、問題のないものを弁護団に開示するという新しい方法を裁判所が提案していた。今回の3者協議で、検察側がこの提案を受け入れて裁判所への証拠の提出に踏み切ったのだ。これが前例となって、この方式が今後も継続すれば、証拠リストの開示をふくめて証拠開示が前進することになり、狭山第3次再審闘争はあらたな段階にはいることになる。弁護団の粘り強い努力に敬意を表するとともに、いよいよ再審闘争が山場をむかえてきたことを確認し、全国で闘いを強化しよう。

 今回の3者協議で検察側は一歩譲歩してきたが、しかし、検察の対応は依然として不誠実そのものであることを指摘しておかなければならない。
  弁護団は、「秘密の暴露」とされた車の駐車問題について、事件当日の車の運行状況などの捜査資料の開示を求めていたが、検察官はすべて「不見当」と回答している。事件直後には相当念入りに地元の聞き込みや車の持ち主の調書をとっているはずだが、それが開示されないままだ。また、弁護団は、遺体発見直後の手拭いの捜査資料の開示を求めていたが、この手拭い関係についても検察からの回答はなかった。犯人像も犯行現場もわからない段階で遺体に残された手拭いは、犯人に直結する一級の重要物証だ。当然警察は手拭い関係を相当念入りに捜査したと思われる。その手拭いの捜査に関する資料を検察は出していない。
  検察だけでなく裁判所の動きにも警戒が必要だ。袴田事件の再審開始決定で再審をめぐる情勢は大きく流れが変わったように見えるが、各地方の裁判所の動きも警戒しなければならない。北陵クリニック事件(仙台地裁)や飯塚事件(福岡地裁)のほか、4月には恵庭事件(札幌地裁)、5月には名張事件(名古屋高裁)の再審請求が棄却されている。裁判官の多くは、まだ司法の権威にこだわり、再審請求に冷淡な態度を続けている。東京高裁は、大丈夫だといい切れない状況が続いている。

 部落解放同盟は8月28日に全国狭山活動者会議・住民の会全国交流会を都内でひらくことを決めた。8月下旬に予定されている第19回3者協議のなりゆきによっては、いよいよ今年の秋から冬にかけて大きな山場となることが予想されることから、全国的な運動の高場をかちとるための全国交流会の開催だ。第18回3者協議では、証拠の開示自体はなかったが、証拠物の開示に向けて一歩着実に前進した。この流れをさらにすすめ、証拠開示と事実調べを実現するための大きな世論の盛りあがりをつくろう。また、現在、全国でおこなわれている映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映運動をさらに拡大していこう。昨秋公開されたこの映画は全国各地で好評を博している。東京中野区の映画館「ポレポレ東中野」はロードショーのかたちで上映していたが、半月間上映期間を延長した(~7/18)。マスコミや映画雑誌などの評判を聞いた映画ファンが見にきているようだ。東京、山梨に続いて愛知、新潟、愛媛でも一般映画館で上映される。全国各地で開催されている上映会も200か所をこえた。埼玉では県内7ブロックを一巡した上映会の成功をふまえて、第2次上映運動を7月からはじめる。映画を見て支援団体に加入する人もでている。
  狭山事件は事件発生から51年をむかえた。石川一雄さんは半世紀以上も無実を訴え続けている。証拠開示によって再審開始決定が出された袴田事件に続き、狭山事件でもいまこそ証拠開示と事実調べをかちとろう。
  袴田のつぎは狭山だ!

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