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部落問題資料室
NEWS & 主張

人種差別が目的と断定
「在特会」のヘイトスピーチに
大阪高裁

「解放新聞」(2014.07.21-2675)
 京都朝鮮第一初級学校(現・京都朝鮮初級学校)への差別街宣(ヘイトスピーチ)にたいし、7月8日、大阪高裁が「在特会」の控訴を棄却、1審京都地裁の1226万円の賠償命令と200メートル以内の街宣禁止(2639号既報)を維持するとともに民族教育の重要性にも言及、前進した判決をおこなった。

朝鮮初級学校襲撃で
  1審では「人種差別撤廃条約」第1条第1項の「人種差別の定義」にもとづき、ヘイトスピーチを人種差別と判断していた。2審では「私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には、上記発言が、憲法13条、14条1項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし、合理的理由を欠き、社会的に許容し得る範囲を超えて、他人の法的利益を侵害すると認められるときは、民法709条にいう「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」との要件を満たすと解すべきであり、これによって生じた損害を加害者に賠償させることを通じて、人種差別を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨を私人間においても実現すべきものである」とし、朝鮮初級学校は「昭和28年に認可された学校法人であり、朝鮮人教育や一般文化啓蒙事業を行うことを目的とし、本件学校等を設置・運営して在日朝鮮人の民族教育を行っていたこと」をあげ、差別街宣によって「学校法人としての存在意義、適格性等の人格的利益について社会から受ける客観的評価を低下させられ」「学校における教育業務を妨害され、本件学校の教育環境が損なわれただけでなく、我が国で在日朝鮮人の民族教育を行う社会環境も損なわれた」ことを指摘した。
  また、発言は「在日朝鮮人を嫌悪・蔑視するものであって、その内容は下品かつ低俗というほかはない」と断じ、児童・園児が「その民族的出自の故だけで、控訴人らの侮蔑的、卑俗的な攻撃にさらされ……人種差別という不条理な行為によって被った精神的被害の程度は多大であったと認められ」ると判断している。
  さらに、「新校舎の周辺で本件活動と同様な不法行為が行われるおそれがないとはいえない」と、朝鮮初級学校から半径200メートル以内の街宣を禁止した。
  裁判闘争では、ヘイトクライムのない社会と民族教育権の保障をめざしており、民族教育の重要性と人種差別事件であると大阪高我が認定した意義は大きい。
  3月25日に第1回口頭弁論がひらかれ、「在特会」の弁論要求にたいし、裁判長は「すでに論議はつくされている」と即日結審し、この日の判決となった。
  高裁判決にたいして、孫智正・京都朝鮮学園理事長は、「きょうの控訴審判決を糧にして、日本全国の朝鮮学校の児童・生徒が安心して通学し、望どうとした朝鮮人として成長していけるように一致団結して、民族教育事業に邁進していく」、などのコメントを発表した。
  判決後の報告集会で、部落解放同盟の谷川中執も連帯あいさつし、「ともに喜びあいたい。侵略へ向かうときには必ず人権侵害をひきおこす。差別をなくそうとする判決であることを確認しあいたい。差別を禁止する法律をつくらない社会を問いたい」と、ともにがんばろうとよぴかけた。


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