【広島支局】「「部落地名総鑑」を配っただけでは問題にならない」と広島法務局の幹部が耳を疑うような発言をしたことにたいして県連は7月1日、広島法務局を訪ね、「抗議文」を手渡した。
発言は、5月29日に呉市の人権擁護委員を対象にした研修会であった。講師の広島法務局呉支局総務課長が人権侵害にあたらない例として「「部落地名総鑑」を配っただけでは人権侵害にならない」と発言。それにたいして研修会に参加していた人権擁護委員の一人が「「部落地名総鑑」の作成そのものが差別で、総務課長の発言はおかしい」と指摘した。すると同席していた広島法務局人権擁護部長も「就職差別に利用したかどうかが問題で、使用しなければ人権侵害にならない」と発言した。
抗議文は、「被差別の地名のみが書き込まれた図書に差別目的以外の利用価値はない」とし、「被差別部落を特定するインターネット等への書き込みに有効かつ効果的な手を打つことができない法務局の防衛的な思いが露見したもの」と批判し、謝罪と信頼回復への方向性を示すよう強く求めている。
抗議文を受け取った人権擁護部第1課長は、まだ成立もしていない「人権委員会設置法案」が人権侵犯事件を「人権侵害」(個人を対象)と「識別情報の摘示」(不特定多数を対象)に分類しているとし、「「部落地名総鑑」は後者であり、人権侵害ではない」などと詭弁とごまかしの説明に終始した。
申し入れ後、川崎卓志・県連委員長は、「差別行為をする者を正当化するもので許されない。各自治体で部落の地名を書いてばらまく者が出てきたらどうするのか。今回の発言は人権擁護ではなく差別擁護。反省しない法務局の反人権姿勢を広く県内外に訴えていきたい」とのべた。
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