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部落問題資料室
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「伝えたい思い」を大切にした文化活動を全国で活性化させよう

「解放新聞」(2014.08.04-2677)

 今年、40回を数えた部落解放文学賞は、7月20日、応募作130編のなかから選ばれた入賞16作品にたいし表彰をおこなった。本文学賞が40年もの良きにわたって継続して開催でき、反差別人権確立の立場で創作に励む人びとの大きな目標になっていることを嬉しく思うとともに、審査の先生方、応募者の皆さんのご協力に心から感謝したい。
  安倍政権が右傾化を強め、戦争のできる国へと大きく舵をとろうとしているなか、またそうした目論みに合わせて国内の差別排外主義が煽動されるなかで、今回の部落解放文学賞では、戦争やヘイトスピーチを意識した作品が増えたことが特徴的であった。戦争への怒りが祖父にたいする愛情をとおして語られることで、より強く、豊かに表現された詩があった。また、共有した少年時代の体験が語られることによって、ヘイトスピーカーに与(くみ)する友人への怒りと悲しみを表現した作品があった。戦争や差別にたいする思いをより豊かに表現できることは、私たちの大きな力である。部落解放運動のなかで文化活動はもっと重視されなければならない。

 もとより、部落解放運動にかかわる文化活動のベースは識字運動だ。文字を習いながら、文字を知らないことの辛さを綴り、文字を覚えることの嬉しさを綴る。そうした作業をとおして、文字を獲得できなかったみずからの歴史を見つめることができるようになり、書き手と読み手のあいだに「被差別」と「反差別」が共有されていくのである。「生徒」と「先生」がともに学びあう識字教室の姿がそれである。
  今日、厳しい状況のなかで識字教室や夜間中学、日本語教室などが営えいととりくまれているが、そうしたスタイルが在日コリアンやニューカマーの人びと、不登校の子どもたちをも対象に定着してきている。これらが、所在する地方自治体では財政難を理由として補助や支援が縮小されつつあるが、私たちはこの灯をなんとしても守らねばならない。

 被差別部落と部落解放運動がもっているのは文学だけではない。日本の文化を支えてきた歴史があり、芸能や芸術、生活文化にかかわる豊かな財産がある。これらをふくめ、「伝えたい思い」を大切にした文化活動を全国の各部落で活性化させねばならない。
  厳しい時代にこそ、理論や方針とともに、運動への「共感」が必要なのではないか。
  第41回部落解放文学賞に多数の応募を!

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