【兵庫】『人権歴史マップ』セミナー第1回「賀川ハル」とあわせフィールドワーク「賀川記念館見学」を5月17日神戸市でおこない20人が参加(主催・ひょうご部落解放・人権研究所)。
三ノ宮駅南側のフラワーロード(愛称)はかつて生田川が流れていたが大雨時に周辺の外国人居留地が洪水の被害にあうため明治期の沿水対策で付け替えで道路となった。
いっぽう、付け替えられた生田川周辺の新川ではスラムが形成された。作家で社会運動など幅広い献身的な福祉活動を展開した賀川豊彦(1888~1960・牧師)が活躍した場所だ。生田川公園の一角にたつ賀川生誕100年記念碑には自伝小説「死線を越えて」(20年)の「死線を越えて我は行く」の言葉とともに「貧困、権力、社会悪、戦争、暴力と闘い、それを越えて進んでいく考えを表したもの」と意味を紹介。賀川は結核をわずらいながらも、新川でキリスト教の伝道をはじめた09年いらい労働運動、農民運動、生協活動など幅広い分野で活躍。ノーベル文学貫、ノーベル平和賞の候補にあがったことでもその功績への世界的評価がわかる。いっぽうで女性差別の言動や、部落差別の思想性が批判されたこともあり、手放しでは評価はできない一面がある。
賀川記念館は1963年に開館、賀川献身100年を記念し2009年に再建。地域福祉の拠点となっている。ミュージアムでは映像で賀川の業績を紹介、ボランティアが説明にあたっている。賀川はかつて新川に一膳飯屋天国屋を開業したが、ながくは続かなかった。このことから再建された記念館には「天国屋カフェ」を併設。参加者はここで昼食をとりながら賀川の足跡に思いをめぐらせた。
午後からのセミナーでは山形県の庄内地域史研究所所長の三原容子さんが「賀川ハル」について講演。三原さんは賀川の妻のハルが書き残した資料『賀川ハル史料集』(2009年・緑蔭書房・全3巻)を編集。「ハルの評価は今後の課題にしたい」とした。
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