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部落問題資料室
NEWS & 主張

夜間中学の全国拡充を
超党派の議員連盟が院内シンポ

「解放新聞」(2014.08.18-2679)
 「8.1「夜間中学等の全国拡充に向けた」国会院内シンポジウム~人間らしく生きるため、すべての人に義務教育を!~」が8月1日午後、衆議院第1議員会館でひらかれ、各地の公立中学校夜間学級や自主夜間中学の生徒・卒業生、国会議員など200人が参加した。パネリストの生徒・卒業生から、差別、戦争など、さまざまな事情で教育を受けられず夜間中学校で学んだ体験が報告されたほか、会場からも活動の現状や課題を出しあい、「夜間中学等の全国拡充に向けたアピール」を採択した。
  アピールは▽全都道府県への公立夜間中学校開設▽政令指定都市や自主夜間中学による要望がある自治体への公立夜間中学校開設▽自主夜間中学への援助などの拡充▽全国の既存の小・中学校への義務教育未終了者の受け入れ▽特別支援学校での就学免除・猶予者のための成人クラス拡充▽障害者への訪問教育の拡充、を盛り込んだもの。
  部落からも、和歌山市・岩橋(いわせ)の自主夜間中学で学ぶ生徒が生い立ちを語り、公立夜間中学校の一日も早い設置を訴えた。
  主催は、4月に超党派の国会議員で発足した「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」(馳浩・会長、衆議院議員、同日現在で57人の衆・参議員が参加)と、「全国夜間中学校研究会」(山口泰治・会長(岸和田市立岸城中学校校長))。
  主催者あいさつで、議連の馳会長は「夜間中学校、夜間学級が設置された時代、背景、事情と、現代とでは時代背景は違うが、夜間学級を必要とする国民や定住外国人、また、今後とも、さまざまな公的支援の拡充のもとに設置された夜間中学校を必要とする人は増えていく。安定的な経営を確保できる公的支援拡充の意味を多くの国民にご理解いただけるように、同時に地方議会でもご理解をいただけるように、と盛りだくさんの目標をもっている。どうぞ、支援を広めていただきたい」と提起。
  全夜中研の山口会長は「現在、公立中学校夜間学級は8都府県31校にしかない。ぜひ全国に夜間中学を、学ぶ場所をつくっていただきたい。今回のシンポジウムが、公立中学夜間学級や自主夜間中学校で学ぶ生徒はもちろん、全国におられる百数十万人の義務教育未終了者の方がたの大きな生きる力と、希望の力になることを」とあいさつ。
  全夜中研の須田登美雄・副会長の経過報告のあと、報告したパネリストは、小学校で不登校・引きこもりになった東京の若者をはじめ、難民キャンプから来日した若者、大阪の在日韓国人や和歌山の部落のおばあさんと、義務教育末終了者の教育の研究に長年たずさわってきた小林文人・東京学芸大学名誉教授の5人。生徒・卒業生は生い立ちを
まじえて夜間中学の必要性を強く訴えた。小林名誉教授は、国際潮流からの日本の遅れを指摘し、格差、貧困、差別、社会的排除がある事実をしっかりと見て、学校、教育の場を積極的に用意すること。超党派で政策として具体化すること、の意義を強調。「日本は、どういう基準で識字者と判断し、読み書きできないと判断するか、その基準もない。 「日本はすべての人が読み書きできる」の通説がまかりとおるなか、読み書きできない人は、すくなくとも百数十万人いる」と調査・研究の必要性を訴えた。

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