土地差別を許さないとりくみを全国的に強めよう
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一昨年11月に和歌山県で発覚した「Y住宅販売会社差別事件」にたいする第2回糾弾会を7月末におこない、Y住宅本社の責任、事件の原因や背景など全容がほぼ明らかにされた。
Y住宅社員による競売物件の調査および競売仕入チェック表(社内文書)への差別記載など事件が発覚していらい、行政機関の指導や調査、そして和歌山県連と連携しての事実確認会がおこなわれてきた。さらにその過程で、和歌山県をふくむ全国13府県の支店でも同様の「差別調査・書き込み」の事実が判明し、各府県連でも事実調査や確認がおこなわれてきた。そうした1年以上のとりくみをへて、4月の第1回糾弾会に続いておこなわれた。
事件は、営業担当者が「同和地区の物件は売れない」「売れないと自分の成績に関わる」と考え、「同和地区の物件は扱いたくない」との思いから、競売物件をチェックし、「同和地区の物件だから扱わないでほしい」とのメッセージを本社へ送ったのである。しかし、本社では「見たことがない」「記憶にない」(本社役員)と今日まで無視し続けてきた。
会社の責任について当初、「本社の指示ではないが」として担当者がおこした問題であるとの立場をとってきた。しかし、Y住宅が創業いらい35年間、社員研修などまったく部落問題にとりくんでこなかったことや企業内公正採用選考人権啓発推進員も担当者を報告しているだけという事実。さらに宅地建物取引業法(今回の事件は業法違反行為)の徹底もされていないなど今日までのY住宅の姿勢が土地差別を容認し、加担する企業体質を作りあげてきたのである。そのことが、今回の事件を引きおこしてきた最大の原因であり問題点である。
この指摘にたいし糾弾会で役員から「決済をしている以上は当然見ている。「見ていない」というのは、「記憶にない」ということで黙殺したのだと思う。会社として、何にもとりくんでおらず、差別記載のチェックもできていないなど、会社のなかにそうしたとりくみや問題意識への環境がなかった以上、今回の5年分の調査以前から差別記載があったのであろうと考えられる」と発言し、Y住宅本社自身に問題があることを認めた。
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Y住宅販売会社差別事件の背景に、市民のなかに根強く存在する部落にたいする「忌避意識」があることはいうまでもない。そして、その市民意識をうけ入れ、あるいは同調し、土地差別を常態化させている不動産・住宅業界の実態がある。さらに、その業界を指導監督する立場にある国土交通省をはじめ関係行政の姿勢やとりくみにかかわる問題でもある。3
Y住宅販売会社差別事件は、Y住宅の土地差別への同調と加担という責任とともに、今日のさまざまな課題を提起している。もちろん、Y住宅自身が事件を深く検証し、総括するなかで差別を許さない企業へと再生し、業界にその影響を与えていくことが重要である。「解放新聞」購読の申し込み先
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