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部落問題資料室
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主張

 

原発再稼働を阻止し、核廃絶と人権・平和の確立を

「解放新聞」(2014.09.01-2681)

 福島原発事故から3年余りが経過した。事態はいまだ厳しく、汚染水の漏えいなどの課題が山積し、事故の収束の見通しすらたっていない状況である。13万人ともいわれる住民が、長期にわたる仮設住宅の生活や県内・県外での避難生活を強いられている。
  東京電力の発表によると福島第1原発3号機の炉心溶融は、これまでの推定より約5時間早くおこっていた。また、その分、燃料の損傷度合いも大きくなり、格納容器の底まで溶け落ちたとみられ、今後の燃料取り出し作業がますます困難になった。どこにあるかもわからない核燃料を冷却し続けるいっぽうで、放射能放出は収まっておらず、事故の全容解明はもちろん、原発建屋内部の調査すらできず、廃炉へ大きな障壁になっている。増大する汚染水、除染問題、補償問題など課題は山積しており、とりわけ、住民や労働者の健康問題は深刻化している。
  こうしたなか、安倍政権は4月に「エネルギー基本計画」を閣議決定し、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発の再稼働や再処理、もんじゅ開発をふくめた核燃料サイクルの推進、原発輸出など、原発の再稼働をおこなおうとしている。
  しかし、国民の多くは原発再稼働に反対の意思を示しており、福島原発事故の惨禍から何も学ぶことなく、国民的な議論すらおこなわない安倍政権の「暴挙」をけっして許してはならない。
  2014年5月21日、福井地裁は大飯原発の再稼働裁判で「差し止め」の判決を出した。判決は、ひじょうに画期的なものだ。内容は、①人格権を侵す恐れがあるとき、重視されてきた経済活動の自由より人格権は尊重されると判断②事故を例に大きな自然災害や戦争以外で人格権をきわめて広く奪う可能性のあるものは原発事故以外考えられない③人の生存にかかわる権利と電力の問題とを比べ議論すること自体、法的に許されない④国富の喪失とは「豊かな国土とそこに国民が根を下ろし生活していること自体が国富であり、これが取り戻せなくなることが国富の喪失だ」とし、原発再稼働の理由にならないと断じた。
  私たちは、こうした司法の判断を武器に、大飯原発裁判の控訴審や、原子力規制委員会による審査を合格した川内原発などの再稼働を絶対許さない闘いをおしすすめよう。

 詩人、宮尾節子さん作「明日戦争がはじまる」を紹介する。

 まいにち
  満員電車に乗って
  人を人とも
  思わなくなった

 インターネットの
  掲示板のカキコミで
  心を心とも
  思わなくなった
  虐待死や
  自殺のひんばつに
  命を命と
  思わなくなった

 じゅんぴ
  は
  ばっちりだ

 戦争を戦争と
  思わなくなるために
  いよいよ
  明日戦争がはじまる
 
  7年前に作られた詩だ。いまの世相を予言したかのようである。いま、まさに偏狭なナショナリズムを煽り、「戦争ができる国」から「戦争をする国」への準備が安倍政権のもとではじまっている。
  原水爆禁止広島・長崎大会では、「核と人類は共存できない」とし、すべての核の廃絶と核と戦争のない平和な21世紀を確立することが確認された。
  「ヒロシマ」「ナガサキ」を忘れず、「フクシマ」を核時代の終わりの始まりにしなければならない。幅広い共同闘争で、これ以上の核被害の拡大を許さず、差別と抑圧のなかにおかれている核被害者との支援・連帯を強め、反核・平和・人権・民主主義を確立していこう。


被爆69周年原水爆禁止世界大会・大会宣言

 1945年8月、広島と長崎で炸裂した2発の原子爆弾は、筆舌に尽くしがたい惨劇を生みました。生き残った被爆者も、放射能被害に苦しみ続けています被爆者は、三度原爆を使わせないとの決意のもと、被爆の実相を伝え、世界の恒久平和を訴えてきました。しかし、その思いを裏切るように、繰り返された核実験、核開発、原子力発電所事故と、核の被害は拡がっていきました。今年は、ビキニ被災から60年、来年は敗戦から70年、原水爆禁止日本国民会議結成50年の節目の年となります。あらためて運動の原点を見つめ直し、国の責任を明確にすることが求められます。
  2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故は、新たな被害の歴史を積み上げることとなりました。3年半が過ぎようとしていますが、13万もの人々が故郷を奪われ、多くの住民、労働者が被曝し、放射能との闘いを強いられ、人権が侵害されています。事故原因も責任の所在も明らかにされていません。そのような中での、川内原発の再稼働は決して許せません。国は、国策で原発政策を推進し事故を招いた責任を明確にし、フクシマ事故被害者の健康・命・生活を守る具体的施策を実施し、フクシマの再生に向けて全力をあげるべきです。福島県民の怒りと「脱原発」の思いに連帯して、私たちは、「フクシマを核時代の終わり」にするよう全力を尽くさなくてはなりません。
  平和をめぐる日本社会の情勢は、きわめて厳しいものがあります。国会では、数の力を背景に安倍政権の横暴が続いています。原発推進に回帰する「エネルギー基本計画」の閣議決定、生命の脅威をまき散らす「原発輸出」、憲法の平和主義を被壌する「集団的自衛権」の行使容認、沖縄の辺野古への新基地建設の強行など、市民社会の想いを一顧だにせず「戦争ができる国」にむけた暴走は、決して許すことはできません。平和を守り育てる原水禁運動は、真っ向から対立する安倍政権に立ち向かわなければなりません。
  世界には、いまだ1万6千発を超す核兵器が存在し、核抑止力への幻想が横行しています。昨年の「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」には、日本も含む125カ国が賛成しました。核兵器の使用を禁止しようとする国際的主張は、大きく高まりつつあります。来年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議に向けて、核廃絶の具体的一歩に踏み出すことが求められます。核兵器保有国が、先制不使用と消極的安全保障を宣言し、「核兵器使用禁止」の合意形成へ向けて、国際的対話に踏み出すことを、私たちは強く求めます。
  日本が唯一の「戦争被爆国」として核廃絶の先頭に立とうとするなら、日本のプルトニウム利用政策が核拡散の今日的課題であることに留意する必要があります。核燃料サイクル計画により生み出される大量のプルトニウムは、アジア周辺諸国に脅威を与え、私たちがめざす東北アジア非核地帯構想の大きな障害となっています。核兵器廃絶と脱原発の視点から、運動の強化が求められています。
  高齢化する被爆者や被爆2世・3世の課題の解決も急務です。被爆体験者や在外被爆者の課題の解消など被爆者の権利保障は、フクシマでの権利確立にもつながります。戦後70年近くもの長きにわたって、不十分な措置に憤り闘い続けてきた被爆者の想いは、真の平和を求めるとりくみであったのです。
  戦後70年、目の前に「戦争をする国」という亡霊が立ちはだかります。戦争を、被爆の実相を忘れてはならないのです。私たちは、そこから立ち上がります。人類が生き残るために立ち上がります。「核と戦争のない平和な21世紀を」求めて。
  ノーモア!ヒロシマ、ノーモア!ナガサキ、ノーモア!フクシマ、ノーモア!ヒバ クシャ、ノーモア!ウォー

2014年8月9日
被爆69周年原水爆禁止世界大会


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