ブロック別に実践交流を深め、今後の生活福祉運動の発展をかちとろう
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日本の人口は年年減少し、少子高齢化社会をむかえている。少子化の要因として、「女性の社会進出がすすみ、「晩婚化」「晩産化」の傾向が強まってきたから」だといわれている。しかしそれは、女性の社会進出と同時に、結婚後も仕事ができる環境整備、とくに子育て支援をはじめ男女がともに働きやすい、さまざまな制度が充実していないからだ。
高齢社会白書(2014年版)によると、現役世代が高齢者を支える率が年年低下している。1950年には高齢者1人にたいして12.1人だったが、2010年には2.8人と減少。今後も、高齢化率は上昇し、2060年には、1人の高齢者にたいして1.3人が支える比率になる。
今日、安倍政権は、成長戦略の中核をなすものとして「女性の活躍」政策を打ちだして、「育児休暇3年」「待機児童を5年でゼロ」「上場企業に女性役員を1人」など、まったく具体性のない施策を取りあげている。しかし、現実は、消費税を増税するいっぽうで、年金や生活保護費の減額をはじめとする社会保障制度の改悪をすすめ、私たちの経済的負担は増すばかりだ。
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1990年代以降、雇用環境の悪化にともない、若い層のなかで「ひきこもり」「フリーター」「ニート」「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」など、失業者・無業者・非正規労働者の占める割合が増加し、格差と貧困が広がっている。とくに、若い層の正規雇用の就職は厳しいものになっており、社会に受け皿がなく、社会的排除がすすむなかで、ホームレス生活をおくる女性や若者が増えてきている。
政府は、こうした社会問題化している就労・雇用の実態の改善に向けて、十分な施策にとりくんでいないばかりか、いっぽうで労働法制の改悪さえすすめようとしている。貧困や格差を解消し、ホームレスを生まない社会を創造していかなければならない。
来年4月から「生活困窮者自立支援法」が施行される。施行にあたり、昨年度から「生活困窮者自立促進支援モデル事業」が全国各地で実施されている。国が自治体からの情報を収集し、生活困窮者がかかえる課題や支援の成果などを把握し、よりよい制度化をすすめるためにおこなわれている。
「支援法」の内容や「生活保護制度」の一部改正についての問題点や課題を学習し、現在、生活保護を利用している人や利用しようとしている人にどのような影響があるのかを具体的に議論していかなければならない。とくに、「支援法」がたんなる経済的自立の促進のみを目的とするのではなく、社会生活上の自立の支援に向けたものになるようにしなければならない。
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今日の生活・福祉にかかわる厳しい情況をふまえ、「自助」「共助」「公助」の理念を最大限に生かしたとりくみをすすめることが必要だ。これまで、人権のまちづくり運動を各地から創り出していくとりくみがおこなわれ、各都府県連や支部、地協でそれぞれ、特色をもった人権のまちづくり運動をすすめてきた。国や自治体の福祉政策など一般施策を活用しているところや、ほかのNPOと連携した協働のとりくみをしているところ、自分たちで法人を立ちあげて事業を展開しているところなどがある。
第1回全国生活福祉運動部長会議で、10月にブロック別交流会を開催することを決めた。各都府県連や各支部、地協でのとりくみ報告やそれぞれの地域での課題などを出しあい、生活福祉運動の活性化をはかっていこう。また、12月13、14日に大阪でひらく第22回中央福祉学校では、ブロック別交流会の報告をもとに、地域福祉運動の発展に向けてさらに議論を深めていきたい。
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「自分たちのまちを自分たちで創造していく」ことが求められている。
地域のなかで、高齢者や障害者、ひとり親家庭、女性や子どもが安心して暮らしていけるまちづくり運動にとりくむことが重要だ。
介護・福祉サービス、ヘルパー資格取得のとりくみなど、雇用創出や人材育成に向けた活動ともあわせて、一人ひとりの「生きがい」「社会参画」を実現する支援施策の充実にとりくんでいこう。
そのためにも、必要なサービスや自立支援の施策を行政に求める闘いを強化するとともに、「地域福祉計画」の具体化に向けて、社会的支援を必要とする人が排除されることのない地域福祉運動を、部落内外の協働の力でとりくんでいこう。
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