ヘイトスピーチ根絶へ各地へ行動
奈良県議会は10月6日、政府にたいして「ヘイト・スピーチ(憎悪表現)に反対しその根絶のため法規制を求める意見書」を全会一致で可決。都道府県レベルでははじめての可決。
意見書では在持会による御所市・水平社博物館前での差別街宣(2011年)にたいして奈良地裁が差別とし、損害賠償をいい渡した判決や大阪高裁がヘイト・スピーチを「憲法や人種差別撤廃条約に照らして許されない」とした判断をあげ、「毅然とした立場で臨み、ヘイト・スピーチ根絶のための国内法の整備を進めるよう」強く求めている。
意見書の提案をおこなったのは川口正志・県議(奈良県連委員長)が所属する奈良県議会議員会派「なら元気クラブ」。川口委員長を中心にはたらきかけをおこなってきた。
このほか、名古屋市会と東京・国立市議会も同様のヘイトスピーチの規制を求める意見書を採択している。
あわせて、京都府議会、広島県議会でのとりくみも報告する。
京都府の対応ただす
平井斉己議員が知事に
【京都支局】府議会で9月22日、平井斉己・議員 (京都府連書記長)が、ヘイトスピーチについての府の対応を山田啓二・知事にただした。
平井議員は、京都朝鮮第一初級学校裁判の大阪高裁判決、国連の人種差別撤廃委員会の日本政府への法規制勧告などをあげ、ヘイトスピーチを許さない毅然とした姿勢を知事が府民に示すべき、と訴えた。そして、国にも法規制を求めるべきと知事の考えをただした。また、他の自治体と手をとりあい、全国知事会の会長としてとりくみを、と求めた。
山田知事は、安倍首相が法規制の検討を党に指示している、などとのべたうえで、「他人にたいする礼儀を著しく欠き、差別的な言質を擁する、これはわれわれ社会に受け入れるものではないと私は断言したい」と答弁した。
府としては「人を排斥し誹誘中傷する行為は許されないという人権意識が浸透するようしっかり啓発にとりくんでいきたい」とした。
規制については「国が総合的に検討する必要があり、これまでも法的対応をふくめた実効性ある対策を求めてきた。全国人権同和行政促進協議会を通じても、同様にひき続き要望していく」と答弁した。
平井議員は、小田垣勉・教育長にも、インターネット上にあふれる悪意や差別情報に傷つく者がいる現実などを指摘し、ネットリテラシーなど、情報を読み解き、問題に気づく力、思考力を育めるよう、読書活動推進などについても質問した。
教育長は、京都府子どもの読書活動推進計画の第3次計画の検討をすすめている、とのべ、市町村と連携して情報化社会に対応できる思考力の育成にとりくんでいく、と答弁した。
広島県議会で一般質問
山下真澄議員が差別煽動について
【広島支局】山下真澄県会議員(県連副委員長)は9月24日、県議会9月定例会で一般質問をおこなった。
山下議員は、①防災対策と被災者支援について②手話言語条例の制定について③個人情報保護の強化について④差別解消のとりくみについて⑤子どもの貧困対策について⑥いじめ防止基本方針について質問。
「在特会の差別煽動行為や人権感覚を疑う議員の発言をどう認識しているのか」という質問に、環境県民局長は「「表現の自由」は、他者の人権を侵してまで無制限に認められるものではない」とし、さらに「部落地名一覧という冊子がインターネットのオークションに出されている現実にどのような問題意識をもっているのか。また、広島法務局職員の発言についての認識は」との問いには「「部落地名総鑑」は身元調査以外の目的は考えられないことから、売買・所持自体が、差別行為であると認識している」と答えた。
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