在日コリアンにたいする民族差別と女性差別の複合差別に真正面から挑む反ヘイトスピーチ裁判がはじまった。「裁判、最後までがんばる」と力強く決意を表明したフリーライターの李信恵(リシネ)さん。10月7日、大阪市・エルおおさかでひらかれた「李信恵さんの裁判を支える会」(リンダの会)の発足集会でのことだ。
この日午前、大阪地裁で民事訴訟の第1回口頭弁論がおこなわれ、その報告集会をかねたものだったが、平日の昼にもかかわらず100人をこえる参加者があり、裁判闘争のもりあがりをみせた。
李さんに向かって「朝鮮人のパパア」と街頭宣伝したり、「不逞鮮人」と短文投稿サイトに書きこみをした「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と桜井誠・同会長を相手どり、550万円の損害賠償請求をおこなった。このほか、「朝鮮半島に帰れ」などの書きこみをまとめたブログ記事を掲載していたブログ運営者に2200万円の賠償を求めた裁判も、10月30日に大阪地裁で第1回口頭弁論がおこなわれる。
「心に落書されている気持ちになり、不眠を抱えるようになった」李さん。インターネット上では、差別排外主義者と果敢にバトルをくり広げているが、誹誘・中傷でうけた精神的な傷は深い。周囲の人たちは、裁判をおこすと、さらに二次被害で嫌がらせや差別の攻撃が激しくなるのを心配して反対したが、李さんは踏み切った。
その背景には在特会による京都朝鮮第一初級学校襲撃事件(2009年12月4日)があった。裁判闘争のなかで李さんが出会ったオモニたち。勝利判決がでたあと、みんなの気持ちをうけついで裁判をおこす決意を固めた。弁護士の上瀧浩子さんは、そんなエピソードを披露した。
また、上瀧さんは「李信恵という個人のうしろには、たくさんの在日朝鮮人と女性の、声にならない声がある。彼女の提訴は、オモニたちの勇気と希望を引き継いでいる。そして、さらに、あとに続く人たちに勇気と希望を引き継いでいくことを確信している」と裁判の意義の一端にふれた。民族衣装のチマチョゴリで裁判に臨んだ李さんの姿に、その思いがあふれていた。
だが、とりまく状況はあまくない。同じようにインターネット上で差別排外主義者から罵倒・中傷されて闘っている在日コリアンの大学関係者は「女性がターゲットになると、10倍、100倍のせい惨な被害をうむ」と証言した。
インターネット上にあふれる差別。李さんの支援に参加した人は「ツイート(インターネット上のつぶやき)を見るようになり、毎日吐き気のするような差別発言を大量に浴びせられていることを知り、こんな酷い差別が社会に蔓延している状況をなんとかしたいと強く思うようになった」と反レイシズム(人種差別)行動にたちあがった理由をあげていた。支援にかけつけた参加者の共通の思いを代弁したものだ。
支援の参加のよびかけも
支える会では、支援の参加をよびかけている。裁判日程やニュースレターなどはメールで配信する。登録は=ml@sociologbook.netまで。カンパは=ゆうちょ銀行 店名・四一八店番・418 預金種目普通預金 口座番号 0042781 李信恵さんの裁判を支援する会
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