首都圏にアイヌの語らう場を
首都圏には、5000人から1万人のアイヌが暮らしているといわれる。しかし、アイヌが自由に集いアイヌの文化を十分に体現・伝承する施設がない。自力でその施設を作ろうという「チャシ アン カラの会」の運動。この運動に連なる人びとに感謝を献げる第4回アイヌ感謝祭が10月12日、神奈川県横浜市のスペースオルタを会場にひらかれた。主催は「チャシ アン カラの会」。
午前中はアイヌ語教室、刺繍や東京・大久保のアイヌ料理店ハルコロが出張してアイヌ料理を振る舞った。午後のメインステージでは、アイヌの唄(ウポポ)と踊(リムセ)、古式舞踏、アイヌ神謡やムックリ演奏が続いた。
特別ゲストはトンコリ奏者の居壁太さん。葛野辰次郎(2002年3月没)エカシが生前語った自然への畏敬の念を歌にし披露した。葛エカシは、伝統的なカムイノミができる人で、原発事故以前、人間がコントロールできないものを作るべきでない、と語っていた。その自然観は、未来への預言を思わせる。居壁さんは力強い弓の舞も披露した。
昨年に続き、ニュージーランドの先住民族マオリの男女5人による勇壮な儀式「ハカ」や歌が披露された。このグループは日本で生活する人たち。部族で多少習慣が異なるという。「アイヌ民族はいない」という札幌市議の差別発言も知っていたようで、「私たちは同じ迫害の歴史を背負ってきた。他の人の価値観ではなく、みずからの意志でアイヌだと主張すべき。ともに先住民族として連帯しよう」とあいさつした。
主催者を代表して島田あけみさんは「首都圏に生活するアイヌは語らう場(生活館)を求めてきたが、これからはみずからの手で作る活動をしたい。会の名称「チャシ アン カラ」は「自分たちでつくる家」の意味だ」と支援を訴えた。
とりくみの中心にいる宇梶静江さんは「多くのアイヌが非識字者。教育も満足にないなかで差別されてきた。アイヌに誇りを持つことができない人が多くいる。こうしたとりくみはうれしい。若いアイヌの参加がうれしい」とのべた。
部落解放同盟も、神奈川、栃木の両県連から参加しアイヌ文化を堪能した。
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