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結審し来年3月9日に判決
氷見えん罪事件国賠訴訟

「解放新聞」(2014.11.17-2691)
ウソの自白をさせたことへの反省なし
  【北陸支局】氷見えん罪事件の被害者・柳原浩さんが国と県を相手取り約1億円の損害賠償を求めている国家賠償請求訴訟の第27回口頭弁論が10月6日、富山地裁でひらかれ結審した。判決は来年の3月9日。
  この日、原告代理人の弁護団から最終準備書面の要旨の説明があり、「捜査機関による取り調べ、逮捕・勾留、裁判そして服役が、原告にどれほどの肉体的・精神的苦痛を与えたか、原告の無念の思いはいかばかりであったか、普通の想像力を有する人なら、だれしも容易に思い至ることができる」「原告のようなえん罪の被害者を生んではならない」「本件は国家犯罪というべきえん罪、その根絶をめざす歴史的道程の一里塚となる裁判である」とし、「裁判所には本件の原因、責任を解明する責務がある」と主張した。
  いっぽう、被告の国や県、取り調べ担当の警察官は最終準備書面で「違法性はない」と主張した。
  弁論終了後、富山県教育文化会館でひらかれた報告集会で、奥村回・弁護士は「27回の弁論のうち、18回までは捜査資料や証拠を出させるやり取りに費やしたが、裁判所も理解を示して一定のものは提出させることができた」と報告。前田祐司・弁護士は「この裁判は国家の責任を問うもの。ほとんどのえん罪事件に共通する自白の強要を柱としてきたが、明らかにすることができた。多くの客観的証拠も一方的に柳原さんの有罪の方向にしか評価していないことも明らかにしてきた」と報告した。
  弁論を傍聴した足利事件の菅利和さん、布川事件の桜井昌司さん、志布志事件の川畑幸夫さんの3人のえん罪被害者が、みずから体験した密室での取り調べ状況を語り、取り調べの全面可視化の必要性を訴えた。桜井さんは「自分も国賠をやっているが、この国賠でも警察はウソの自白をさせたことへの反省がない。こうした状況を許していることをみんなに考えてほしい。声をあげ続けたい。少しでも社会を変えていこう」と話した。最後に柳原さんが「最後まで闘う」との決意をのべた。

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