法務省との交渉を10月30日午後、省内でおこなった。交渉には西島書記長、和田中執、谷川中執をはじめ20人が参加、省側からは山本真千子・人権擁護局総務課長はじめ調査救済課長、人権啓発課長など10人が出席した。交渉では人権擁護局の所管以外の人権課題が多くふくまれ、要求にたいする回答が明確におこなわれない場面などが前回同様続出。これらをふまえ西島書記長は事象の後追いばかりでかえって拡大している現実がある、省をこえた連携のなかでプロジェクトを組み、抜本的な解決をはかる方向を示してほしい、とまとめた。
交渉項目にそって、①ヘイトスピーチの問題では、国連勧告に関係省庁と対処していきたい、ヘイトスピーチは差別をうむことに通じかねないもので残念、啓発でこうしたことは許されないとの意識を高め、外国人にたいする差別や偏見をなくすよう啓発活動にいっそう積極的にとりくんでいきたい②戸籍などの個人情報大量不正取得で防止策、法整備、啓発など所管をこえたとりくみを、にたいしては、実態把握に努める、不正取得防止策を改正戸籍法に盛りこんだとしながら、本人通知制度については条例などにもとづいて各自治体で導入されており運用状況を注視している。個人から被害情報があるなら人権侵犯事件として対処するとともに啓発につとめる③ネット上での部落差別情報については、プロバイダーの問題は所管外とし、削除要請している、これまで同様啓発にとりくむ④国際人権諸条約の人権の国際基準の周知徹底、啓発活動の実施状況については、周知徹底につながる啓発冊子の配布など意識向上に努めている、実施状況は国会に報告しホームページにも掲載⑤人種差別撤廃委員会の勧告をふまえ抜本的な人権侵害救済制度の確立へ向けた見解を問うと、関係省庁と協力し適切に対処していきたい、調査・救済をしている、と答えた。
①では、ヘイトスピーチは外国人にたいしてだけでないことを指摘したうえで、行為そのものを禁止すべきかどうかを問うと、民法の不法行為に該当する場合もある、とするだけ。いろんな表現があるので、へイトスピーチの定義がないので、とのべるにとどまった。人種差別撤廃条約の解釈についてさまざまな観点からただすと、明確に答えなかった。西島書記長は、人種差別撤廃条約を批准しているにもかかわらず国内法の整備ができていない問題も指摘。現行法のなかでの対処の検討も求めた。
②では戸籍等の不正取得問題は電磁情報化されたマイナンバー制度のなかでも生じる問題で危険、あやういと和田中執が指摘。被害があればというが、とられたことを本人が知らない、という実態も参加者が示した。谷川中執は、登録型の本人通知制度について長瀬法務大臣(当時)が「あった方がいいに決まっているが事務処理上の課題がある」と答弁していることを紹介した。ここまで登録制が広まっているのは事務処理上の問題ではないという自治体の認識があるからではないか、とただした。
③では、鳥取から「鳥取ループ」が部落の地図を掲載し5年になる、2チャンネルで差別的書き込みがあると地図が貼りつけられるなどの問題があり、ストリートビューとリンクされており家の特定や個人の情報までアップし利用されている現状、東京からはインターネット上の差別的記述の削除に時間がかかっている問題などが指摘され、迅速な対応を求めるとともに、事例を集め、こういう差別はしてはいけないという原則のガイドラインを公に示すこと、プロバイダーの契約約款に禁止事項をいれるなど現実的な対処法も求めた。
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