子どもの権利保障に向け、人権・同和教育の輪を広げていこう
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本年1月、「子どもの貧困対策推進法」が施行、8月には「大綱」が閣議決定された。個個の施策に目を向けると、既存の制度の寄せ集めという感はいなめないが、子どもの権利保障に前向きとはいえないこの国の政府をして、本格的に対策にとりくまざるをえないと重い腰をあげさせるほどに、過酷な状況におかれた子どもたちが急増している。
また、絶え間ない競争にさらされ、家庭・学校・地域のなかに「居場所」を見つけられずストレスをかかえこみ苦しむ子どもたちの増加や、いじめや体罰、自死など、子どもたちの人権や尊厳が脅かされる事案もあとをたたない。こうした実態が全国的に散在しているのが、子どもの権利条約を批准して20年をむかえた日本社会の現実なのである(前号主張参照)。
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こうした実態を改善し、子どもたちの育ちと学びを確かなものにしていくために、第一義的には、政治の責任で「子どもの権利」に視点をおいた、多角的な施策の充実をはかること。そして、行政の責任で、適切に推進されていくことが求められる。
しかしながら、教育や福祉など子どもの権利保障にかかわる現行制度の多くは、資格要件などの制約もさることながら、「申請主義」という手続き自体が、制度を必要とする受給権者ほど〝高い壁″となって立ちはだかっている。
教育文化運動部でとりくんだ「高等学校等就学支援金」にかかわるアンケートの結果からも、大きく2点の課題が明らかになっている。
ひとつは、制度の複雑さだ。子どもの修・就学にかかわる代表的な施策だけをあげても、義務制を対象とした「就学援助」、高校などを対象とした「奨学金」、「給付金」、「支援金」と多岐にわたる。行政用語が散りばめられた広報や案内だけでは、子どもを初めて就学させる保護者のなかに、混乱が生じるのは避けられない。受給者のニーズにあわせた、制度名称や広報が求められる。
つぎに、「手続き」という〝行為″それ自体だ。必要書類を添付した申請書を、指定された窓口に、定められた期限内に提出する。当然とされる手続きだが、「ひとり親家庭」「外国籍住民」「保護者が疾患・障害を抱える場合」「児童養護施設入所者」など、厳しい生活を余儀なくされている保護者や子どもにとっては、想像以上に困難な作業なのである。申請者の多様性にあわせた、窓口設定や申請方法と、弾力的な運用が求められる。
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国や地方自治体にたいして、各種制度の充実と改善、手続きの工夫と簡素化などを求めていくことは当然のこととして、各都府県連・支部でも、教育・福祉行政の関係機関と連携した主体的なとりくみが求められる。
それぞれの地域で、支援を必要とする子どもたちや保護者たちの上を、施策が素通りすることのないように、相談活動など地域の実能把握に努めよう。
「貧困の連鎖」を断ち切り、子どもたちの未来を保障していくために、学校を拠点として、子どもたち一人ひとりの「差別の現実に深く学ぶ」ことを基盤とした、地域総がかりの人権・同和教育のとりくみが求められている。
12月6、7日の二日間、「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」をテーマに、第66回全国人権・同和教育研究大会が、香川県・高松市総合体育館を主会場にひらかれる。
全国各地で積みあげられた豊かな実践をもちより、成果と課題について活発な議論が展開されることが期待される。
全国各地の教育課題の解決と子どもたちの権利保障に向けて、人権・同和教育の輪を広げていこう。
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