石川、富山で連続して行動を展開
問題講演で県が反省
教訓化し人権施策を推進へ
石川県交渉
石川県交渉を11月14日午後に金沢市内の石川県庁会議室でおこない、①高等学校等就学支援金制度②戸籍謄本など不正取得問題③県民意識調査④人権教育・啓発推進法にもとづく市町の行動計画策定状況⑤公正採用選考問題⑥県人権推進室職員による研修会での問題講演、などの課題で意見交換をおこない、支援金制度の活用状況の把握、公正採用選考での受験報告書制度を形骸化をさせないとりくみをおこなうことなどを確認した。
冒頭、黒野嘉之・県総務部長が部落問題についての姿勢表明のなかで、2009年にもたれた二つの研修会の問題について言及。水平社宣言などの説明にかかわって、決議の「徹底的糾彈ヲ爲ス」のみをことさらに強調し、受講者が違和感を感じたことについて、「県としても、講師の水平社宣言にかかわる説明としては十分でなく、不適切で反省すべき点があるということを認識しましたうえで、今後、講師となる人権推進室職員にたいしましては、研修会などに参加するとともに、その研修でなにを理解したかを、報告書によりきちんと上司に説明するよう義務づけしまして、講師の資質向上をはかっていきたいと考えております。……今後こうした事実を教訓としまして、本県の人権施策の推進に努力してまいりたい」と表明した。
①の支援金制度では、82.7%が支給をうけており、制度の周知については、学校の教員・事務職員には研修会を数回おこない、高校仮入学の説明会で必要な説明をしている。非課税世帯が対象の「高校生等奨学給付金」の受給割合については「把握していない」に終始。このため、制度が活用できているかの把握をするよう要請し、県は一人ひとりに情報がゆきわたるように他県のとりくみを勉強したい、と回答した。部落解放同盟からは、実態を把握するよう強く要請した。
②の不正取得問題で県は、不正取得が問題であるという認識をしており、すみやかに市町に情報提供していること。不正取得にかかわる「本人通知」については、2012年の金沢市に続いて2013年から小松市も導入したこと。住民基本台帳事務連絡協議会を通じ周知にとりくみ、研修会などで制度の種類や全国の導入状況の情報を提供していることなどが報告された。
③の意識調査で明らかになった課題として県は、関心の高かったのは、高齢者、子ども、障害者の順で、人権意識が30代40代で落ちてきており、同和問題に関心をもつ人の割合は63.6%、認知度は62・9%であり、関心を高める啓発が必要。今後、3月末までに行動計画を見直し、人権施策を推進したい。策定のためのヒアリングも実施する、と報告・表明した。部落解放同盟からは、結婚について10年前の意識調査より部落への忌避意識が高くなっていることもふまえ、啓発にとりくむよう要請した。
違反項目の分析も確認
④の市町の行動計画策定では、法の趣旨にかなったものとしては、19市町のうち7市にとどまっており、県は、ねばり強く働きかけ、進捗状況をみながら対応したい、と回答。県全体のレベルを忌避意識が高まっていることからもあげる必要があることを指摘した。
⑤の公正採用選考問題で県は、昨年度の違反件数は48件。うち13件が不採用となったと回答。しかし、この13件の違反項目分析はしていなかったことが明らかとなり、把握・分析をすることを確認した。労働局に指導をうけた事業所は、「本人の適性・能力で不採用」と回答していることも示し、受験報告書の形骸化をさせないためにも、労働局と連携したとりくみを求めた。
⑥の研修会での問題講演については、総務部長の姿勢表明を了とすることにした。
交渉には、池田、安田の各中執をはじめ5人が参加。県からは黒野総務部長など20人が出席した。
低い「同和問題」への関心
施策にしっかりと位置づけを
富山県交渉
富山県交渉を11月14日午前に富山市内の富山県教育文化会館でおこない、①意識調査②「人権教育・啓発推進法」にもとづく「市町村での計画」策定③戸籍謄本などの不正取得④結婚相談事業⑤高校奨学金制度、などで意見交換。意識調査の「同和問題への関心」が9.9%と他の課題と比較してはるかに低い結果となっていることなどをふまえ、関心を高めるためにも、部落問題を施策のなかにしっかりと位置づけ、とりくむことなどを要請した。
①の意識調査では、数字の比較だけでなく施策に反映させるためには分析が必要であることを重ねて指摘。県は、講演会などに「知らなかった」「そもそも関心がない」ので参加しなかったという回答が多くあり、周知をゆき届けることと関心をもってくれるようにする必要があることなどの課題を示した。
部落解放同盟からは、「推進法」にもとづく「基本計画を策定しているのは県内15市町村のうち富山市だけであり、「総合計画」にも部落問題が位置づけられてなく、関心を高めるためにも位置づけをと求めた。また調査項目についても「部落の人とのつきあい」はあるものの、より具体的な「結婚」についての項目が盛りこまれていないことも指摘した。
⑤の高校奨学金制度で県は、昨年度まで設けていた成績条項ありのA区分となしのB区分から、今年度は成績条項を撤廃し、「なし」に一本化したことが報告され、枠は100人、今年度の申請は79人で全員採用したことも示された。
しかし、いぜん保証人が二人必要であり、緩和するよう要請した。また「貸与の取り消し・停止」の部分で毎年度末、1年間の成績を調査し、その結果によっては貸与の取り消しまたは停止をおこなうことがありますと、成績条項が残されているかのような説明がおこなわれており、整理するよう要請し、確認した。
結婚相談で戸籍抄本と
④の結婚相談事業では、2014年10月に発足した県の「とやまマリッジサポートセンター」入会申込書がプロフィールやさまざまな個人情報を書きこむ様式になっており、とくに、必要書類として「独身証明書(戸籍抄本での代用も可)」とされており、これでは独身証明書制度の形骸化と差別を認めるものとなっていることを強く指摘し、次回までに整理することを確認した。
交渉には、池田、安田、高橋の各中執をはじめ5人が参加、県からは漆畑有浩・生活環境文化部次長など22人が出席した。
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